2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K11744
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
奥原 滋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (10451973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 祥子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (80251544)
森田 圭一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (10396971)
長岡 亮介 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (30760805)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 舌 |
Outline of Annual Research Achievements |
舌発生が異常になるモデルマウスであるShhEGFP+/-;MFCS4-/+マウスを用いて舌発生の機序を解明することを目的としている。 正常舌発生機序を、細胞系譜に沿って記述するための研究を実行中である。舌原基には神経堤細胞が主たる構成細胞であるところ、筋芽細胞は舌原基後方より遊走し、出生時には大半が筋芽細胞であることが判った。また、舌中隔や舌腱膜を構成する細胞は神経堤由来の細胞であることも明らかになった。しかし、舌中隔や舌腱膜にならない神経堤細胞の運命は未解明である。また、舌筋は胎生期よりその機能を発揮するため成熟していると考えられるが、内舌筋群、概舌筋群の各々が速筋か遅筋かについては未解明で、現在実験中である。 また、前述モデルマウスについて、以下の結果を得た。モデルマウスにおいては、舌筋の分画構造が破綻しており、これが舌機能の異常をもたらし、口蓋突起の挙上に貢献できない舌にさせていると考えられた。また、個々の筋芽細胞は分化の最終段階に到達していることを明らかにした。これは、筋芽細胞を配列・分画する組織である腱に異常があることを示唆している。そこで、腱発生の主たる転写因子であるScleraxisの発現について野生型とモデルマウスで比較したところ、舌腱膜および舌中隔に相当する部位のScleraxisの発現は、モデルマウスでは低下ないし部分的に欠如していた。すなわち、モデルマウスにおいては、Scleraxisの発現の低下が筋芽細胞の配列・分画不足をもたらし、これが舌の運動を不全・不足なものにして、口蓋突起の挙上を促すことができない状態になっていることが示唆された。 腱の一般的な発生機構と照らし合わせて、モデルマウスで低下しているShhシグナリングと腱発生の分子生物学的な関係について今後検討していゆく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した研究課題の内容のそれぞれについて、課題終了時までに論文執筆や投稿までを済ませることができるべく、ほぼ半分の内容を達成している。 舌正常発生を細胞系譜に沿って記述する部分では、必要な動物の確保と維持、必要な検出系の確立を達成しており、一部ではあるが実験結果も得られている。今後行う予定である細胞増殖活性とアポトーシスの検出にも、実験系が確立されているため問題がない。 モデルマウス解析においては、ShhシグナリングがScleraxis発現にどのような機序で関与するのかを解明する必要がある。この点については、材料と技術に限界があるので、解明した範囲で発表する予定だが、発生段階を追ってShhシグナリングと神経堤細胞とScleraxis発現の時間的な関係を見ると腱発生の前段階である間葉細胞の凝集段階に関与するものと目され、予想がついている。最期に、ヒトゲノムに関する解析を研究課題に含めているが、倫理委員会への申請書類が完成したところで、これから審査を受ける。総合して、予定に先んじているほどではないが、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
舌正常発生を細胞系譜に沿って記述する部分では、今後行う予定である細胞増殖活性とアポトーシスの検出にも、実験系が確立されているため問題がない。舌発生はマウス胎齢9.5日から出生時まで、 モデルマウス解析においては、ShhシグナリングがScleraxis発現にどのような機序で関与するのかを解明する必要がある。この点については、材料と技術に限界があるので、解明した範囲で発表する予定だが、発生段階を追ってShhシグナリングと神経堤細胞とScleraxis発現の時間的な関係を見ると腱発生の前段階である間葉細胞の凝集段階に関与するものと目され、予想がついている。この関係が明らかになると、同モデルマウスにおける他の表現型にも新たな理解をもたらすことができる。 最後に、ヒトゲノムに関する解析を研究課題に含めているが、現在、倫理委員会への申請書類が完成したところで、これから審査を受ける。
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Causes of Carryover |
研究は、舌発生の細胞系譜の記述、舌発生異常モデルマウス解析、ヒトゲノムの3つの柱からなるが、ヒトゲノムに関し、所属機関倫理委員会への申請に予定よりも手間取り、申請書がようやく完成した段階にある。従って、その分使用額が少なくなり、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ヒトゲノムについての研究は今年度予定通り開始できるので、その中で用いる。
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[Presentation] Shh signaling during patterning of the murine tongue2016
Author(s)
Shigeru OKUHARA, Tomoko Sagai, Anahid A. Birjandi2Hadeel Al-Lami, Tomoko Sagai, Takanori Amano, Toshihiko Shiroishi, Karen Liu, Martyn T. Cobourne, Sachiko Iseki
Organizer
JSDB Special Symposium: Frontier of Developmental Biology
Place of Presentation
東京大学小柴ホール(東京都・文京区)
Year and Date
2016-06-02 – 2016-06-02