2016 Fiscal Year Research-status Report
口腔顔面領域の神経障害性疼痛モデルラットにおける神経栄養因子の疼痛制御機構の解明
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16K11748
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大山口 藍子 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (70464237)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 眼窩下神経 / Von Frey |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は神経系の発生、機能、再生に関わる重要な細胞外シグナルの神経栄養因子に着目し、神経障害性疼痛モデルラットにおける疼痛制御への関わりを疼痛関連行動、脊髄シナプス伝達、神経軸索再生から明らかにし、神経障害性疼痛の治療戦略の足がかりをつかむことである。 平成28年度の計画として、神経障害性疼痛の動物モデルとして眼窩下神経結紮モデルを作製すること、神経栄養因子のGDNF familyの1つであるアルテミンを投与し、行動的解析を行うこと、機械刺激性痛覚過敏反応(Von Frey test)、化学刺激性侵害受容(ホルマリン誘導疼痛関連行動)を観察し、感覚機能回復を評価することとしていた。 本年度の成果として、眼窩下神経結紮モデルラットを作成し、Von Freyテストから疼痛関連行動を観察した。眼窩下神経結紮モデルラット作成に関して、ペントバルビタール麻酔下、眼窩下神経を露出させ、ポリグリコール酸糸で結紮し神経障害性疼痛モデルとした。結紮手術後の回復は良好であった。機械刺激性痛覚過敏反応の評価に関して、無麻酔科で合成樹脂でできたフィラメントをラットの顔面に垂直に押しやり、その回避応答までの重量閾値をFon Frey法により評価した。今回の神経結紮モデルにおいても非結紮モデルに比べて逃避応答閾値が低下する傾向であった。 今後、神経栄養因子であるアルテミンを投与し、侵害受容行動から感覚機能回復を観察する予定である。さらに、免疫組織化学染色により、延髄後角尾側亜核のc-Fos発現を定量し、シナプス機能回復、神経再生の促進をNF200、CGRP、P2X3の免疫染色から観察する予定である。これらの観察から、神経栄養因子アルテミンの神経障害性疼痛に対する効果を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
眼窩下神経結紮モデルラット作成に関して、実験動物はSD系ラット雄性、体重180-250gを使用した。ペントバルビタール麻酔下、眼窩下神経を露出させ、ポリグリコール酸糸で結紮し神経障害性疼痛モデルとした。結紮手術後の回復は良好であった。機械刺激性痛覚過敏反応の評価に関して、無麻酔科で合成樹脂でできたフィラメントをラットの顔面に垂直に押しやり、その回避応答までの重量閾値をFon Frey法により評価した。今回の神経結紮モデルにおいても非結紮モデルに比べて逃避応答閾値が低下する傾向であった。
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Strategy for Future Research Activity |
神経栄養因子であるアルテミンを投与し、侵害受容行動から感覚機能回復を観察する予定である。神経障害性疼痛モデル作製後、アルテミンを14日以上皮下投与すると、侵害受容行動や感覚運動機能を完全に機能回復させ、その効果は6か月以上続くという報告がある。今回、眼窩下神経結紮モデル作製後から14日間、1mg/kgのアルテミンを皮下注射する。さらに、免疫組織化学染色により、延髄後角尾側亜核のc-Fos発現を定量し、シナプス機能回復、神経再生の促進をNF200、CGRP、P2X3の免疫染色から観察する予定である。これらの観察から、神経栄養因子アルテミンの神経障害性疼痛に対する効果を明らかにする。
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Causes of Carryover |
本年度の研究計画から実験を進めていき、必要物品を購入した結果、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、ラットの購入、免疫染色に使用する抗体などの薬品を中心に研究計画に従い必要物品を購入していく予定である。
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