2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11753
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
富岡 重正 徳島文理大学, 保健福祉学部, 教授 (70188770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90380089)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経再生 / 軸索ガイダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
骨髄間葉系幹細胞から分化誘導した再生神経細胞に対して圧を負荷した時の形態学的影響について検討をおこなった。細胞への圧負荷は、ネッパジーン社灌流培養チャンバーを利用した独自の圧負荷装置を用いておこなった。つまり、継代培養した骨髄間葉系幹細胞に対して、成長因子などを含む培養液に交換することによって再生神経細胞へ分化誘導をおこなった後、ネッパジーン社灌流培養チャンバーに装着したシャーレ内の再生神経細胞に様々な圧を負荷した。神経再生医療を想定した場合、移植した再生神経細胞には組織圧が継続的にかかることが予想される。臨床上15mmHg以上の圧がかかると脳圧亢進状態とされているが、実際には40~50mmHg、時には80mmHg近くまで上昇することがあると報告されている。そこで、50mmHg程度の圧負荷を行うと、再生神経細胞は細胞体は膨張し、それに伴い神経突起の伸長が抑制された。さらに150mmHg程度の強い圧を加えると、神経突起の伸長は完全に抑制された。神経細胞同士のシナプス形成も観察できなかった。しかしながら、再生神経細胞が死ぬことはなく、圧を開放すると再び神経突起を伸ばし始めたが、圧負荷前と同程度まで伸長することはなかった。一方、数mmHg程度の圧負荷では、神経細胞体の膨張は軽度で、神経突起の伸長もほとんど阻害されなかった。現在、圧負荷をおこなう前後での再生神経細胞の遺伝子発現の変化について検討するため準備中である。神経突起伸長の骨格に関わっているβ-actin、神経細胞としての性質の変化を知るためにNeurofilament、低酸素状態により発現するHIFなどの遺伝子が、様々な圧負荷によってどのように変化するか遺伝子学的に検討をおこなう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験が遅れている最大の理由は、細胞培養環境の不安定さである。継代培養も安定せず、骨髄間葉系細胞から再生神経細胞への分化誘導も成功しないことが多い。また、新型コロナウィルスの感染状況などにより、リモート授業や臨床実習の補講などの準備に時間がかかり培養実験に十分な時間を確保できないことも1要因となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
このままの状況では、残り1年間で十分な遺伝子発現データを得ることは困難と判断し、研究分担者である鶴見大学歯学部教授の里村一人先生に遺伝子発現実験を依頼し承諾を得た。今後、遺伝発現実験は研究分担者が担当し、データの解析等は研究代表者がおこなっていく予定である。
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Causes of Carryover |
再生神経細胞への圧負荷による遺伝子発現実験には多額の費用がかかるため、次年度使用額が大きくなった。遺伝子発現実験については研究分担者に実験を依頼し承諾を得た。したがって、研究分担者に遺伝子発現実験に関わる費用を分担金として配分した。
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