2016 Fiscal Year Research-status Report
機械受容チャネルをターゲットとしたシェーグレン症候群患者の難治性疼痛の解明
Project/Area Number |
16K11766
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
岡田 明子 日本大学, 歯学部, 准教授 (10434078)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 幸一 日本大学, 歯学部, 教授 (60160115)
今村 佳樹 日本大学, 歯学部, 教授 (90176503)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | シェーグレン症候群 / 口腔乾燥 / 舌痛 / Piezo2 / 三叉神経節 / ATP |
Outline of Annual Research Achievements |
シェーグレン症候群は唾液腺と涙腺の臓器特異的自己免疫疾患である。唾液分泌障害が生じ、口腔乾燥による舌痛で苦しむことがある。雄性NFS/sldマウスの生後3日目の胸腺摘出を施し、涙腺・唾液腺に限局する自己免疫病変を発症させたシェーグレン症候群類似の病態を呈するシェーグレン症候群モデル(SS群)を作製して、疼痛の発症機序の解明を試みた。また、対照群として胸腺摘出を施さない群(sham群)を用いた。SS群の唾液量はsham群と比較し有意に減少していた。またSS群舌の機械刺激に対する逃避反射行動閾値はsham群と比較し有意に低下したが、熱刺激では有意差が認められなかった。この低下したSS群舌の機械刺激に対する逃避反射行動閾値は機械受容チャネルPiezo2のインヒビターであるGsMTx4の舌粘膜上皮への局所投与により有意に上昇した。しかし、舌粘膜上皮組織と三叉神経節におけるPiezo2の発現量は両群で有意差は認められなかった。よって、Piezo2チャネルの発現量の変化ではなく、機能変化がSS群の舌に対する機械刺激の逃避反射行動閾値の低下に関与している可能性が示唆された。さらに、TRPA1とTRPV1の発現量を舌粘膜上皮組織と三叉神経節で詳細に調べたが、両群において有意差は認められなかった。 また、SS群の舌乳頭数はsham群と比較し有意に減少しており、舌粘膜上皮細胞の組織障害が生じている可能性が示唆された。一方、PGP9.5の発現様式を調べたところ、舌粘膜上皮細胞に存在する自由神経終末の分布は両群において大きな変化は認められなかった。そこでSS群とsham群の唾液中ATP量を測定したところ、SS群において有意に増加していた。以上より、舌粘膜上皮細胞の障害により細胞からATPが漏出し、侵害受容器に作用している可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度以降に研究計画をしていたPiezo2インヒビターを用いた行動学的観察を終了した。計画では、舌粘膜上皮組織や三叉神経節における機械受容チャネルPiezo2の発現変化がSS群で生じていると予想したが、SS群とSham群において発現量の差は認められなかった。しかし、SS群の舌粘膜上皮細胞からATPが漏出している可能性が新たに示唆されたため、SS群における疼痛に対するATPの関係を新たに調べ始めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画通り、電気生理学的研究を用いて、SS群とSham群の三叉神経節におけるPiezo2の機能変化の違いを調べたい。Piezo2インヒビターを舌表面や三叉神経節に局所投与し、三叉神経節における侵害受容性神経細胞の応答変化を調べる。また新たに、シェーグレン症候群における舌痛とATPの関係も調べたい。ATPインヒビターを両群の舌に直接投与し、舌の機械刺激に対する逃避反射行動閾値の変化を調べたい。また、免疫組織化学的染色法やWestern blot法を用いて、両群における舌粘膜上皮細胞や三叉神経節におけるATP受容体P2X3,4,7の発現様式の違いを詳細に調べる。SS群に有意に増加している受容体を同定できれば、その受容体の特異的アンタゴニストを用いて、SS群の舌の機械刺激に対する逃避反射行動閾値に変化が生じるかを調べる予定である。
|
Causes of Carryover |
抗体等がキャンペーンなどを利用し、安くすんだため端数が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の繰越金は29年度の助成金と合わせて、新規薬品などの消耗品、成果発表のための学会参加費、投稿論文の英文校正料ならびに論文投稿料を予定している。
|
Research Products
(8 results)
-
-
[Journal Article] Headache attributed to temporomandibular disorders and masticatory myofascial pain.2016
Author(s)
Hara K, Shinozaki T, Okada-Ogawa A, Matsukawa Y, Dezawa K, Nakaya Y, Chen JY, Noma N, Oka S, Iwata K, Imamura Y.
-
Journal Title
J Oral Sci.
Volume: 58
Pages: 195-204
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
[Journal Article] ERK-GluR1 phosphorylation in trigeminal spinal subnucleus caudalis neurons is involved in pain associated with dry tongue.2016
Author(s)
Nakaya Y, Tsuboi Y, Okada-Ogawa A, Shinoda M, Kubo A, Chen JY, Noma N, Batbold D, Imamura Y, Sessle BJ, Iwata K.
-
Journal Title
Mol Pain.
Volume: 26
Pages: 12
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-