2017 Fiscal Year Research-status Report
口蓋突起の基底膜の代謝機構および遺伝子からの口蓋裂発症機構の解明
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16K11772
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
菅原 利夫 愛知学院大学, 歯学部, 客員教授 (10116048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 英人 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10513187)
平田 あずみ 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40263587)
南 克浩 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70346162)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 2次口蓋裂形成 / 口蓋突起基底膜 / ヘパラン硫酸 / ヘパラナーゼ / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
口蓋裂発症の機序を解明するために、口蓋突起の癒合期における細胞、分子レベルの相互作用をカスパーゼや、TUNEL法を用いたapotosis に関する研究、そして上皮細胞の間葉系細胞への形質転換(EMT)や細胞接着因子に関する研究が行われているが、口蓋突起の発育・癒合に関する基底膜の動態および遺伝子からの口蓋裂発症メカニズムについては十分に解明されていない。本研究は口蓋突起の伸張、水平転移、骨形成などにかかる基底膜の代謝機構および遺伝子の変化から口蓋裂発症のメカニズムを解明することを目的としている。 平成29年は、細胞表面や細胞外基質に存在し,ヘパラン硫酸鎖を介してさまざまな分子と相互作用をし,細胞活性を制御するヘパラン硫酸プロテオグリカン (HSPG) とその分解酵素ヘパラナーゼの口蓋形成への関与を明らかにするため,二次口蓋形成過程における骨芽細胞転写調節因子,ヘパラン硫酸およびヘパラナーゼの局在について検討した. その結果、1)口蓋骨形成は口蓋突起癒合後に開始する.2)骨基質中に存在するヘパラン硫酸および骨芽細胞が産生したヘパラナーゼは上顎骨あるいは口蓋骨の形成に関与することが示唆された。3)ヘパラナーゼは骨基質内ヘパラン硫酸鎖に抱合されている増殖因子を遊離・活性化させ,硬口蓋形成に与る可能性が推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次口蓋形成時の骨基質中に存在するヘパラン硫酸および骨芽細胞が産生したヘパラナーゼの局在について検討する際の免疫組織学的手法に困難性が考えられたが、思いのほか順調に手技が確立され、その局在についてクリアな結果が得られ、当初予測したヘパラナーゼの硬口蓋形成への関与についての強い可能性を推測する結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
口蓋突起の基底膜、細胞膜表面、細胞外器質に局在するプロテオグリカンおよびその分解酵素であるパールカン、そしてプロテオグリカンの発現を介して遊離、活性化されて口蓋突起の挙上、水平転移、癒合、そして口蓋の骨形成、更には二次口蓋間葉細胞の分化、増殖に関与すると考えられる増殖因子bFGFとそのレセプターFGFR-1,2,3,4の局在を免疫組織化学、in situ hybridization法によって明らかにし、ヘパラナーゼを介した基底膜の消失と口蓋形成との関連を明らかにする予定である。 また、口蓋形成時の口蓋突起上皮細胞の分化を調節するセロトニンの制御について更に検討を進めたい。
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Causes of Carryover |
28年度に計画していた口蓋突起上皮のヘパラナーゼ活性に関する研究が、当初想定した以上にスムーズに進行したため組織化学に用いる薬剤および実験動物の費用が少なく済んだことが、未使用額が発生した原因である。これらの未使用額を本年度研究の消耗品である試薬、実験動物の購入に使用することにより、より研究を進展させたいと考えている。
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Research Products
(3 results)