2016 Fiscal Year Research-status Report
口蓋裂発生に関与する口蓋突起基底膜の動態およびヒト筋関連遺伝子の影響
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16K11773
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
井村 英人 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10513187)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 利夫 愛知学院大学, 歯学部, 客員教授 (10116048)
鈴木 聡 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (30468996)
平田 あずみ 大阪医科大学, 医学部, 講師 (40263587)
南 克浩 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70346162)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口蓋裂 / 発生 / MEOX2 / 離開 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、口蓋突起癒合による口蓋形成後に口蓋が何らかのメカニズムで再び解離することによって口蓋裂が発生するという実験報告について、胎生期に左右の口蓋突起が癒合し、口蓋が一旦形成された後に、癒合部が解離して口蓋裂が発症するという、従来の概念とは異なる口蓋裂の発症機構を見出してきた。口蓋形成期にTCDDμg/㎏を溶解したトルエン含有オリーブ油を投与したICR妊娠マウスにおいてTCDDに暴露された胎仔は100%口蓋裂を生じることが確認されてたにも関わらず、胎生14~16日に取り出した胎仔において、口蓋突起の癒合を認めたことから、胎生期に一旦癒合した口蓋が離開して口蓋裂が発症する場合があることを報告している。本研究において我々は、TCDD投与マウス胎仔の口蓋突起癒合現象は再現性が得られることを確認した。この再現性が得られたTCDD投与マウス胎仔の口蓋癒合部について、形態学的に比較検討した。口蓋後方では、口蓋突起は離開していた。口蓋中央部において、口腔側では、口蓋の離断を認め、上皮の欠損および、同部に血球細胞も確認されたが、鼻腔側では上皮および間葉系組織の連続性を認めた。口蓋前方部では、癒合を認めたが、細胞の走行の異常を認めた。今後、現象の解明のため、基底膜動態等について免疫染色を行っていく予定である。 一方、我々は、マウスにおける口蓋離解現象をヒトでも明らかとするため、ヒトDNAとMEOX2との関連について日本人で調査を行い、結果を報告してきているが、ベトナム人でも同様に行った。男性では有意差を認めなかったが、女性において非症候性口蓋裂患者277名と健常者293名を比較したところSNP rs2237493において有意差を認めたことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスにおける研究において、口蓋癒合後の離開現象の再現性が得られており、今後の現象の解明が進むことが期待されるため。 また、同様の現象をMeox2ノックアウトマウスで確認されていることから、ヒトDNAを用いてベトナム人口蓋裂患者でも健常者と比較して有意差があることが確認されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスにおける口蓋癒合後の離開現象に関する結果が進んでいるため、特に重点的に免疫染色を行い、口蓋突起癒合後の離開現象の解明に努める。 抗MMP-2抗体,抗MMP-3抗体,口蓋基底膜動態の観察 1)免疫組織学的観察:免疫染色 抗ラミニン抗体・抗コラーゲンⅣ抗体・抗パールカン抗体、抗MMP-9抗体、抗ヘパラナーゼポリクロナール抗体(マウスヘパラナーゼ28aa-45aa) をもちいて、上皮索基底膜断裂と口蓋形成のメカニズムについて免疫組織化学的に検討する。 特に正常口蓋マウスと口蓋裂マウスにおける基底膜動態について比較を行う。 全ての切片は光学顕微鏡および一体型蛍光顕微鏡 (BZ-8000; Keyence, 大阪,日本)で観察する。
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Causes of Carryover |
切片作製に時間を要し、免疫染色が次年度へ移行し、抗体の購入等が遅くなったため, 消耗品の購入が次年度へ繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度と本年度に計画していた免疫染色を進めるため、試薬やその他の消耗品を購入予定である。 また、実験補助のための人件費および学会発表のための旅費など経費を使用する予定である。
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