2017 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナルを介した重度歯根吸収発生機構の解明と進行抑制への基礎的検討
Project/Area Number |
16K11795
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山口 大 日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (60333100)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 歯根吸収 / 歯根膜 / Wnt5a / 歯の移動 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科矯正学的歯の移動による歯根吸収は、平均1.5mmの歯根吸収が研究対象患者の4.1%、2㎜以上の歯根吸収もしくは上顎4前歯に1本以上の歯根吸収が15.5%の頻度で発生する。ひとたび吸収が起こると、これを抑制することは現段階では困難とされている。申請者は歯根吸収の発生にreceptor activator of NF-kappaB ligand(RANKL)が関与することを見出した。 近年、Wntシグナルによる骨形成と骨吸収の制御機構の解明が急速に進んでいる。Wntファミリーの一つであるWnt5aはRANKLの発現を亢進し、破骨前駆細胞の分化を促進すると報告されている。これまで我々はラットの実験的歯の移動実験において、牽引側にWnt5aが発現することを報告した。しかしながら、矯正治療による歯の移動時の圧迫側におけるWntシグナルの役割は解明されていない。そこで、本研究はラット臼歯に強い力を加え、歯根吸収を惹起させ、Wntシグナルが歯根吸収に及ぼす影響について検討した。その結果、in vivoにおいて、1週目では強い矯正力において歯根吸収像が認められた。さらに、吸収部位ではWnt5a, RANKL, IL-6, IL-17の陽性細胞の増加が認められた。 In vitroではヒト歯根膜線維芽細胞に4.0g/cm2と1.0g/cm2の持続的圧迫力を加えた時、Wnt5aの遺伝子発現は12時間でピークに達し、1.0g/cm2の加重を加えた時に比べ、4.0g/cm2の果汁を加えた時の方が減少した。RANKL,IL-6の遺伝子発現量は12時間でピークに達し、1.0g/cm2の加重を加えた時に比べ、4.0g/cm2の果汁を加えた時の方が増大した。 以上のことから、歯根吸収の発現にはWntシグナルが関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroではヒト歯根膜線維芽細胞に4.0g/cm2と1.0g/cm2の持続的圧迫力を加えた時、Wnt5aの遺伝子発現は12時間でピークに達し、1.0g/cm2の加重を加えた時に比べ、4.0g/cm2の果汁を加えた時の方が減少した。RANKL,IL-6の遺伝子発現量は12時間でピークに達し、1.0g/cm2の加重を加えた時に比べ、4.0g/cm2の果汁を加えた時の方が増大した。以上のことから、歯根吸収の発現にはWntシグナルが関与していることが示唆された。平成29年度の計画がおおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年4月30日付で退職するため、科研費補助事業を廃止。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:実験が予定通りに遂行され,その他汎用試薬の補充が必要なくなったため。 使用計画:平成30年4月30日付で退職するため、科研費補助事業を廃止。
|
Research Products
(15 results)