2017 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスからみた口唇裂口蓋裂発症機序解明と予防法の開発
Project/Area Number |
16K11807
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 大樹 九州大学, 歯学研究院, 助教 (30452709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 浩 九州大学, 歯学研究院, 助教 (00421313)
廣藤 雄太 九州大学, 歯学研究院, 助教 (80759746) [Withdrawn]
山座 治義 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (30336151)
増田 啓次 九州大学, 大学病院, 講師 (60392122)
野中 和明 九州大学, 歯学研究院, 教授 (90128067)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / ミトコンドリア / 口唇裂口蓋裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇裂口蓋裂は、母体要因と遺伝要因が複雑に関与して発症する多因子疾患の一つである。これまでに口唇裂口蓋裂発症の要因の一つとして、酸化ストレスの関与が示唆されていたが、詳細な機序は明らかにされていなかった。本研究は酸化ストレスによる口唇裂口蓋裂発症メカニズムを明らかにし、それを応用した新規予防法の開拓を目標としている。細胞レベルでの解析を行うため、口唇裂口蓋裂を自然発症するCL/Frマウスから調製したマウス胚線維芽細胞(MEF)を口唇裂口蓋裂のモデルとして用いてきた。しかし、CL/Fr由来のMEFはコントロールであるでC57BL/6由来のMEFと比較して長期保存に適さないことが平成28年度にわかり、平成29年度ではMEF以外の細胞としてヒト脱落乳歯由来幹細胞の利用を検討した。ヒト脱落乳歯由来幹細胞(SHED)は乳歯歯髄より調製でき、神経細胞や骨芽細胞へ分化可能な多能性を有する幹細胞である。さらにSHEDの調製は脱落乳歯を用いるため非侵襲的に調製可能であり、提供者からの協力を得やすいという利点をSHEDは有する。平成29年度はSHEDを用いた酸化ストレスに対する葉酸の細胞保護効果の解析、および口唇裂口蓋裂患者からのSHEDの調製を中心に行った。酸化ストレス誘導剤であるピオシアニンをSHEDの培養液に添加すると、活性酸素の発生にともないSHEDの増殖能と遊走能は低下した。この条件下で葉酸を添加した結果、SHEDの増殖能と遊走能が回復し、葉酸による細胞保護効果を見出すことができた。さらに葉酸添加時の活性酸素を測定した結果、葉酸添加による活性酸素低下効果は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
酸化ストレス条件下での葉酸の細胞保護効果を見出すことができた。口唇裂口蓋裂患者由来SHEDの収集については、3名の研究協力者からの乳歯提供があり、3名分のSHED調製は完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
葉酸添加は活性酸素量に影響を与えなかったことから、葉酸は細胞増殖能と細胞遊走能を活性化することで、酸化ストレスに対する細胞保護効果を発揮すると考えられる。今後は、これらに関与する遺伝子発現を解析することで葉酸の細胞保護効果を明らかにする。さらに口唇裂口蓋裂患者と健常児SHEDの酸化ストレスに対する耐性や、酸化ストレス応答遺伝子の発現を解析することで、酸化ストレスによる口唇裂口蓋裂の発症機序解明に繋げる。
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Causes of Carryover |
平成29年度と同様に研究経費は主に消耗品に使用しその他、旅費、英文校正費用、論文掲載費用等に使用する予定である。
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