2016 Fiscal Year Research-status Report
新概念の齲蝕管理システムICCMSに適した新規高機能性材料の商品化への戦略的研究
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16K11820
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
有田 憲司 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (20168016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠永 ゆかり 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (70531961)
阿部 洋子 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (00325268)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グラスアイオノマーセメント / ハイドロキシアパタイト / 機械的強度 / フッ化物イオン溶出 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,エナメル質表層下脱灰に対する非切削治療用に市販超フッ化物徐放性グラスアイオノマーセメント(GIC)であるFuji IIIに多孔質球形ハイドロキシアパタイト(HAp)を用いてアパタイトアイオノマーセメント(AIC)を作製し,機械的強度およびフッ化物イオン溶出量を測定した。 Fuji IIIをベースとしたGIC試料は,ガラス粉末量を変化させた3群を作製した(GIC-L群:0.76g,GIC群:1.00g,GIC-H群:1.24g)。AIC群では,予備実験の結果より,AIC粉の総重量(1.00g)の24%に相当する0.24gの球形HApを配合した。また,対照群であるGIC群とガラス粉末量(1.00g)を統一し,それに0.24gのHApを添加したAIC試料群(AIC-H群)も作製した。各試料群の練和開始24時間後の圧縮強さを万能試験機にて測定した。また,セメント硬化体を脱イオン水に浸漬し,浸漬液のフッ化物イオン溶出濃度をフッ化物イオン選択電極にて練和開始から24時間毎に5日間測定した。 その結果,GIC間においては,P/Lに従って圧縮強さが大きくなり,それぞれの群間に有意差が認められた。AIC群とAIC-H群の圧縮強さに有意差は認められず,P/Lが多いGIC-H群の圧縮強さと有意差は認められなかった。また,AIC群のフッ化物イオン溶出量は,GIC-L群の溶出量と有意差が認められなかった。 さらに,平成28年度は平成29年度に行う予定であった高強度充填用GICであるFuji IXを基材としたAICの表面マトリックスの有無によるフッ化物イオン徐放能の違いについても検討し,表面マトリックスを除去しなかったAIC試料は除去したAIC試料はよりも有意にフッ化物イオン溶出量が多く,AICからのフッ化物イオン溶出にはマトリックスが関与していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
AICの試作も順調に進んでおり,計画していた機械的強度および各種イオン溶出量測定に関しても計画通りに進展している。長期間(6か月および12か月)保存した後に機械的強度の測定をする予定である試料の作製も平成28年度に完了しており,平成29年度に評価を行う準備は整った。さらに,平成29年度に行う予定であったAICの表面マトリックスの有無によるフッ化物イオン溶出能の違いについての検討も平成28年度に前倒しして行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策であるが,平成29年度より本研究課題を遂行できる大学院生が2名増えることが決まり,協力体制の強化ができる。これは本研究課題の推進に大きく寄与するのは確実である。また,平成28年度に研究協力者である岡山大学の入江正郎研究員に研究方法についてのアドバイスを受ける機会を設け,専門的技術および知識の提供を受けた。平成29年度以降もさらにこのような機会を設けることにより,研究の推進を図る。 さらに,平成29年度以降に計画しているセメントマトリックスの評価については,平成28年度に予備実験が終了しており,平成29年度より積極的な研究の実施が可能となった。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由については,設備備品費として計上していたノートパソコンが予定よりも安価に購入できたことが挙げられる。また,予備実験から使用していた材料があったため,試料材料の購入が若干少なかったこと,研究成果を公表するためのホームページの作成が平成28年度は実行できなかったことも理由として挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの使用額と次年度に請求した研究費を併せた使用計画としては,試料用材料を予定通り購入するとともに研究成果公表のためのホームページ作成のために使用すること,また,平成28年度の研究成果を論文として発表するために英文校正費用に充てることを計画している。
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Research Products
(5 results)