2016 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージを標的とした脳由来神経栄養因子による歯周炎治療の基礎研究
Project/Area Number |
16K11831
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
武田 克浩 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (10452591)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳由来神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、これまで脳由来神経栄養因子(BDNF)の歯周組織再生治療薬としての臨床応用を目指して、BDNFが血管内皮細胞や歯周靭帯細胞の増殖や分化といった細胞機能を制御し、歯周外科処置時に併用することで歯周組織再生を促進することを明らかにしてきた。本研究は、マクロファージM1/M2活性化の歯周炎進行との関連を明らかにするとともにBDNFのマクロファージ細胞機能制御能を検討することとした。BDNFが歯周組織再生促進能に加えてマクロファージ細胞機能制御能を有することが明らかになれば、炎症制御・組織再生の両面からより多くの歯周炎患者にサイトカイン療法を展開することができる。今年度は、RAW264.7(mouse macrophage cell line)に、刺激因子としてP. gingivalis由来のリポ多糖(LPS)とBDNF(50 ng/ml)(ヒト組換え型、R&D)を作用させ炎症性サイトカイン、抗炎症性サイトカイン発現を検討した。BDNFは抗炎症サイトカインであるIL-4やIL-10のmRNA発現を促進したが、その一方で炎症性サイトカインであるIL-1betaのmRNAも促進した。しかし、そのIL-1betaのmRNA発現促進はLPSによる発現促進と比較しきわめて軽度であり、申請者はBDNFが炎症反応ではなく初期免疫反応に関与する可能性を考えた。RAW264.7におけるBDNFのIL-1beta発現促進に関しては、ELISAを用いて蛋白質レベルでも確認した。またRAW264.7がBDNFの高親和性レセプターであるTrkBや低親和性レセプターであるp75を発現していることも蛍光顕微鏡を用いて観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度開始予定であるBDNFのマクロファージ分化に及ぼす影響の検討をすでにはじめているため。マウス骨髄から分離した単球にBDNFを作用し、マクロファージ分化マーカーの発現の変化を調べるために、現在培養の条件検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年、30年でビーグル犬歯周炎モデルの確立し、歯周炎進行に伴うマクロファージの表現型の変遷を観察するとともに、BDNFの歯周炎治療効果を組織学的に検討することを予定している。組織の脱灰などに時間がかかるため、ビーグル犬歯周炎モデルの作製を速やかに開始する予定である。
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Causes of Carryover |
一部試薬を当初想定した価格より安価で入手したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体や試薬の価格変動の対応に使用する。
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