2016 Fiscal Year Research-status Report
多因子性疾患の視点から探る歯周炎の宿主制御による新規治療法の探索
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16K11841
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
齋藤 淳 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (60266559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (70453785)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯周病 / 歯肉上皮細胞 / 環境因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎の疾病概念が,細菌感染から生活習慣病,そして多因子性疾患へと変遷する中で,細菌-宿主間の相互作用に及ぼす環境因子の影響についての検討は不足している。この点に関する知見を得るために,平成28年度は,まず,in vitroにおけるヒト歯肉上皮細胞の機能に対する各種洗口液の影響について検討した。 エッセンシャルオイル(EO) 配合洗口液は優れたプラークへの浸透性や付着抑制能,抗炎症作用があり,機械的清掃が及ばない部位に対する効果も報告されている。しかし,歯周組織の治癒過程への影響については明らかにされていない点が多い。そこで今回,EO洗口液がヒト歯肉上皮細胞の機能,とくに遊走能および増殖能に及ぼす影響を検討した。ヒト歯肉上皮細胞株(Ca9-22) を10 %FBS添加培地にてセミコンフルエントに達するまで培養した。希釈したアルコール含有EO洗口液,非含有EO 洗口液,塩化セチルピリジニウム(CPC) 配合洗口液を60秒間作用, 洗浄, 24時間培養後,細胞遊走能をWound healing assay, 増殖能をWST-1によって評価した。その結果,アルコール含有EO群とCPC群は,コントロール群(PBS) と比較してCa9-22の遊走能, 増殖能に有意な影響を与えなかった。一方,アルコール非含有EO群は,増殖能を約20 %に低下させた。アルコール非含有EO洗口液の作用直後に細胞形態の変化を認め, wound assay においてスクラッチ後の細胞剥離が生じたため, この実験系では遊走能の評価はできなかった。この細胞形態の変化と剥離は, 界面活性剤の影響によるものが考えられた。アルコール含有EO洗口液は, 歯肉上皮細胞の増殖能, 遊走能を阻害しなかった。アルコール非含有EO洗口液については増殖能の低下という影響が認められたが, 今後,更なる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
環境因子の曝露モデルとして洗口液による刺激の系の確立に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,細菌と宿主間の相互作用についても検討するための足がかりとして,まず代表的な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisとTreponema denticolaの付着に関係するHgp44の付着領域の検討を行う。
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Causes of Carryover |
消耗品が当初予想していたよりも低い価格で購入できたため。また,細胞はCa9-22を使用した実験に留まったため。旅費も当初見込みを下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に培地やリアルタイムPCR用の試薬の購入に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)