2018 Fiscal Year Research-status Report
歯髄由来間葉系細胞中Muse細胞の特性解析と歯周組織再生医療応用への展開
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16K11844
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
長野 孝俊 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (10386914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金指 幹元 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (80339811) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 歯髄 / 幹細胞 / SSEA-3 / 石灰化能 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年発見されたMultilineage Differentiating Stress Enduring (Muse)細胞を歯髄組織から分離・培養する方法の標準化や効率化を図ることを目的に研究を継続した。 ヒト歯髄組織より幹細胞を分離する手法について予備的検討を行った結果、表面抗原であるSSEA-3陽性の細胞のみを採取する方法が効率的であると判断し、そのソーティング方法を確立した。ソーティングして得られた細胞について、クラスター形成能や自己複製能、さらに三胚葉分化能があることを確認した。 また、SSEA-3陽性細胞を用いて、1週間、2週間、3週間における石灰化誘導実験を行って、特性解析を試みた。細胞増殖能の測定、アルカリフォスファターゼ(ALP)染色、アリザリンレッド染色、カルシウム産生量の測定を行ったところ、石灰化の誘導が進むにつれて、骨形成能をもった細胞に分化していることが示唆される結果となった。 Muse細胞は、表面抗原であるCD105とSSEA-3の抗体を用いて二重染色後、セルソーターにてソーティングを行い、96ウェルプレートにシングル細胞となるよう播種することで得られるとされているが、SSEA-3単独での分離を行った細胞でも、一定程度の幹細胞が得られ、その細胞は石灰化能を有することが明らかとなった。 便宜抜歯や智歯抜歯で得られる抜去歯は医療廃棄物であり、それらの抜去歯から歯髄や歯根膜等の組織を得ることができる。現在、主に骨髄細胞を用いた細胞再生医療が行われているが、それと比較して低侵襲で細胞を得られるメリットがあるため、今後も新たな細胞供給源として歯髄組織の有効性を検証することが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、平成28年度途中での追加採択であったが、研究開始から2年半が経過して、ようやくSSEA-3陽性細胞の安定した分離・培養法が確立され、SSEA-3陽性細胞の特性解析に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
SSEA-3陽性細胞の特性解析に関する研究を継続かつ進展させていく予定である。硬組織分化マーカーの遺伝子発現の検索などを行い、効率的かつスピーディーな硬組織分化の条件を検討していく。
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Causes of Carryover |
採択の決定が2016年(H28)年の10月であり、全体的な研究の進行が遅れたため。また、本研究の目的を遂行するため、現在論文投稿を準備中であり、その費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)