2017 Fiscal Year Research-status Report
齧歯類の切歯の発生を研究するための新たな移植方法の開発
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16K11848
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
坂上 竜資 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50215612)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | apical bud / 上皮間葉転換 / セメント質 / 歯の再生 / 歯周組織再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
齧歯類の切歯根尖部には、生涯にわたって歯を形成する上皮系の細胞集団apical budがある。すでに我々は、マウスのapical budをGFP発現マウスのものに外科的に置き換える実験モデルの開発に成功しているが、今回、apical bud単独で野生型マウスに注入移植する方法の確立を目指している。エナメル上皮由来のGFP陽性細胞の一部がセメント質中にセメント芽細胞として存在することを、高い精度で実証する。この実験モデルによって、エナメル上皮由来細胞がセメント芽細胞に分化する機構の解明が期待できる。 具体的には、生後1-2週のグリーンマウス(C57BL/6 CAG-EGFP)下顎切歯のapical budを含む根尖組織を摘出後、ディスパーぜにて30分処理にて周囲組織を排除し、トリプシン10-20分処理にて細胞塊を分散化し、新たに購入した35ゲージニードルを装着したピペットにて低侵襲にてGFPマウスの根尖部上皮系細胞を生後4週の野生型マウスの根尖部に移植する。4週後にサクリファイスし、ホルマリン固定後、川本法にて4μの非脱灰凍結切片を作製、蛍光・レーザー顕微鏡で検索する。唇側のGFP陽性の内外エナメル上皮とエナメル芽細胞層、および舌側のGFP陽性のセメント芽細胞様細胞については、免疫蛍光染色を行って、上皮間葉転換によるセメント芽細胞生成メカニズムを解明する。 現在、グリーンマウスからの細胞塊採取と分散化、ピペットへの吸引の操作の技術を高めるための技術改良を行っている。本実験は、全てが実態顕微鏡下での非常に細かい作業であり、高い技術が求められるが、技術は着実に向上しており、最終年度中には良い結果がだせると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年3月に大学院を修了し、4月から助教に採用された丸尾助教が平成29年3月に退職となった。平成29年は、2週に1日のペースで、外部研究員として実験に参加してもらっていた。しかし、平成30年になってからは、本人の仕事条の都合から来れるペースが落ちてしまい、現在は坂上が単独での実験になっている。 細胞を採取するマウスは生後1-2週の遺伝子改変マウスであるため、妊娠13日目のマウス(C57BL/6 CAG-EGFP)を業者から購入し出産を待っていた。得られる仔マウスの数は一定せず、さらに移送ストレスからくる育仔放棄など実験動物の確保に難点があった。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞を採取するマウスは生後1-2週の遺伝子改変マウス(C57BL/6 CAG-EGFP)であるため、昨年度までは妊娠マウスを業者から購入していた。しかし動物の確保にさまざまな難点があったため、大学の動物実験室(SPF室)にて自己繁殖することとした。これにより、恒常的に実験動物を得られる体制が整い、着実に実験が進んでいる。 現在、グリーンマウスからの細胞塊採取と分散化、ピペットへの吸引の操作の技術を高めるための試行錯誤を日々行っている。本実験は、全てが実態顕微鏡下での非常に細かい作業であり、分散化した細胞が常に得られる技術の確立はもう少しのところまで来ている。技術は着実に向上しており、最終年度中には良い結果が出せると考えている。
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Causes of Carryover |
今期は移植の記録と確認を目的として、蛍光ライトとフィルターを購入したが、免疫染色用の抗体購入などには至っていない。これは、移植技術の確立を先行させているためであり、次年度中には当初の予定通りに免疫染色まで進む予定である。
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