2016 Fiscal Year Research-status Report
歯周病の病態変化が動脈硬化性疾患の発症・進展に与える影響の解明
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16K11850
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
村上 任尚 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (70451606)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コホート研究 / 歯周病 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地域一般住民を対象に、歯周病の病態変化と脳心血管疾患の発症基盤である動脈硬化の進行との関連を縦断的に検討し、両者の関係を明らかにすることを目的としている。 調査対象は、申請者が参画している「岩手県花巻市大迫町における家庭血圧に基づく疫学研究」(通称:大迫研究)のコホート集団(岩手県花巻市大迫町在住、55歳以上の男女)である。大迫研究は、東北大学大学院医学系研究科を中心として1986年に開始された高血圧・循環器疾患に関する長期前向きコホート研究である。現在は帝京大学が中心となり、東北大学、山形大学、東北医科薬科大学、滋賀医科大学、京都光華女子大学、岩手医科大学、日本医科大学、佐賀大学ならびに昭和薬科大学が参画する多施設共同研究となっている。歯科検診は2004年から導入された。 平成28年度は、大迫町大迫地区の住民を対象に計5回(10/21, 11/9、1/25、2/15、3/1)の医科・歯科検診を実施した。検診を受診した121名(男性41名、女性80名)に対し歯科パノラマX線撮影を含む歯科学検査(口腔内診査、歯周病検査、口腔衛生状態および義歯に関する聞き取り調査)と医科学検査(頸動脈超音波検査、上腕-足首間脈波伝播速度測定、脈波増大係数(AI)算出、血液検査、身体検査、喫煙歴・飲酒歴・既往歴等の聴取)を行い、歯周病を包括的に評価する歯科データ、動脈硬化の評価指標ならびに交絡要因と考えられる各種データを得た。 国内有数の大規模コホートから得られるであろう本研究の結果は、歯周病が動脈硬化に及ぼす影響を明らかにするとともに、歯科的介入による動脈硬化性疾患発症予防の可能性を開き、口腔の健康が悪化する以前の壮年世代に対する歯科保健活動の動機付けになるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、帝京大学、滋賀医科大学、山形大学、東北大学、岩手医科大学、総合花巻病院および岩手県花巻市大迫総合支所保健福祉課の協力により、計5回の医科・歯科検診を実施し、全121名(男性41名、女性80名)から各種データを採得することが出来た。 大迫研究では、対象となる大迫町を4つの地区(大迫、内川目、外川目、亀ヶ森)に分け、1年ごとに異なる地域の検診を行っているため、同地区の検診は4年毎ということになる。今回の121名には、過去に同検診の受診経験のある73名(2回目:36名、3回目:37名)が含まれており、本年度の検診終了時において、歯周病および動脈硬化の変化を追跡しうる複数回受診者数は約370名となった。 着実にコホートの拡大が達成され、特に複数回受診者の増加が確認できており、すでに得られている過去の検診結果とあわせてデータの整理を進めることが出来た。 以上より、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成28年度に引き続き、検診受診者の選択、歯科・医科学検査を行いコホートの拡大および複数回受診者の抽出を行う。平成29年度は、亀ヶ森地区にて検診を実施予定で、約110名の参加を見込んでいる。 さらに、最終的な解析に先立ち、現在までに得られているデータを用いて予備解析を行い、得られた結果については随時各種学会および学術雑誌において成果報告を行う予定である。 大迫研究は2016年に1986年の開始から30年の節目を迎えるとともに、実施統括も東北大学から帝京大学に引き継がれた。また、2004年に歯科検診導入後、2005年に歯科パノラマ撮影が採用され本格的な歯科検診となってから12年が経過し、検診項目の見直しが検討されている。検診項目の変更が本研究の遂行そのものに障害となるかは未定であるが、もともと検診実施時期が年度末ということもあり、データの整理を考慮すると本研究期間の最終年度に行った検診結果を解析に用いるのは困難と考えられる。解析に用いるデータの選択、解析時期の見極めを慎重に行い、信頼性の高い結果を得られるよう推進していくこととする。 また、本研究の申請期間内に得られた調査結果はデータベース化し、将来的な追跡研究の基礎とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は、当初検診補助・データ整理に要する人件費・謝金として計上していた経費を、全て歯科パノラマX線撮影費に充てた結果生じた差分である。本年度の検診当日の補助については、主に申請者の所属とは異なる共同研究機関所属の人員が確保されたため、人件費・謝金については、それぞれの所属先から支出された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度請求額とあわせて、検診に必要となる消耗品の購入費として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Risk Factors for Stroke among Young-Old and Old-Old Community-Dwelling Adults in Japan: The Ohasama Study2017
Author(s)
Murakami K, Asayama K, Satoh M, Inoue R, Tsubota-Utsugi M, Hosaka M, Matsuda A, Nomura K, Murakami T, Kikuya M, Metoki H, Imai Y, Ohkubo T.
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Journal Title
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
Volume: 24
Pages: 290-300
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Menstrual Factors and Stroke Incidence in Japanese Postmenopausal Women: The Ohasama Study2016
Author(s)
Murakami K, Metoki H, Satoh M, Asayama K, Hosaka M, Matsuda A, Inoue R, Tsubota-Utsugi M, Murakami T, Nomura K, Kikuya M, Imai Y, Ohkubo T.
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Journal Title
Neuroepidemiology
Volume: 47
Pages: 109-116
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] 大迫コホートにおける歯科口腔保健の推進2016
Author(s)
村上任尚, 大井 孝, 齋藤 翔, 平塚貴子, 佐藤倫広, 菊谷昌浩, 目時弘仁, 今井 潤, 服部佳功, 大久保孝義.
Organizer
第65回東北公衆衛生学会
Place of Presentation
山形テルサ(山形県・山形市)
Year and Date
2016-07-29
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