Outline of Annual Research Achievements |
食事や発音をする際に, 舌と口蓋が接触することで生じる舌圧は, 舌の筋力を評価するうえで有効な指標とされている. しかし, 幼児の舌圧測定の報告は少ない. そこで, 本研究では, 低出生体重児を含む幼児を対象に舌圧測定を実施し,幼児期における舌圧の変化と, 舌圧に関連する因子について明らかにすることを目的に調査を行った. 保育園に通う幼児236名のうち, 舌圧測定が実施困難だった児27名(うち4名が低出生体重児)と実施可能であった児209名(うち3名が低出生体重児)を対象に, 保護者へのアンケートの実施, 握力, 体組成, 咬合力, 舌圧, 舌の厚みの測定を行った. 舌圧はJMS舌圧測定器を用いて行った. 舌圧(kPa)は3歳児:11.8±7.7, 4歳児:16.7±7.5, 5歳児:22.1±9.5,6歳児:25.4±8.2であり, 年齢と有意に相関した. また, 舌圧は身長, 体重, 握力, 骨格筋量と有意な相関を示した. 低出生体重児だけに着目して検討すると,一定の傾向は見られなかったが,満期産児より有意に平均値が小さかった.また, 咬合力, 舌厚と有意な相関は認められなかった. 発音がしにくい, 噛まない, 飲み込めないなど, 機能的な問題がある児は,舌圧が低い可能性があることが示唆された. 最大舌圧は年齢とともに増加を示した. また, 舌圧は握力と関連を示し, 舌圧は身体機能や全身の筋力との関連性が示唆された. また, 幼児期において, 舌圧は発音や食事との関連性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでおおよそ300名のデータを採取して、低出生体重児の比率はおよそ5%くらいであった。保育園に通う幼児300名のうち, 咬筋・舌筋超音波エコー測定が実施困難だった児27名(うち4名が低出生体重児)と実施可能であった児209名(うち3名が低出生体重児)に, 保護者へのアンケートの追加実施, ならびに握力, 体組成, 咬合力, 舌圧, 舌の厚み,咬筋厚みの測定を行った. 舌圧はJMS舌圧測定器を用い,咬筋に関してはミルキューブにて行った. 現在,データ解析中で,研究協力者からも,H30年夏までにデータが揃う予定である.大まかな傾向としては,咬筋の厚みは,低出生体重児で有意に薄く,ただ幼児期では厚みに変化が見られない傾向がわかった.咬筋の成熟は学童期以降に生じるものと推察された.
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