2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11871
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
渡辺 清子 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 講師 (70148021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20247315)
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (60206810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 植物由来ポリフェノール / 歯周炎 / 破骨細胞分化抑制 / 歯槽骨吸収抑制効果 / バイオフィルム形成抑制効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日常的に摂取する安全性の高い植物由来ポリフェノールが歯周炎および全身疾患予防に有用であるかについて評価することを目的として行われている。 当該年度(平成28年度)は、松樹皮由来ポリフェノールについて、①Porphyromonas gingivalis 感染により誘導するラット実験的歯周炎モデルを用い、歯槽骨吸収抑制効果について検討するとともに、松樹皮由来ポリフェノールの口腔局所における抗炎症作用についての検討、②培養細胞を用いた破骨細胞分化誘導抑制効果の検討、ならびに③種々の口腔細菌に対する抗菌活性およびバイオフィルム形成抑制作用について検討した。 その結果、①実験的歯周炎では、ラット口蓋歯肉の反応性充血をレーザードップラー血流計を用いて検討したが、P. gingivalis 感染+松樹皮ポリフェノール群で、非感染群と同程度の循環改善効果が認められた。 ②培養細胞を用いた破骨細胞分化誘導抑制性は、分化支持細胞であるMC3T3-G2/PA6細胞とマウス骨髄細胞の共培養系を用いて検討した結果、破骨細胞への分化および成熟破骨細胞の活性化を濃度依存的に抑制した。さらに、破骨細胞前駆細胞であるRAW264.7細胞の破骨細胞への分化についても濃度依存的に抑制した。 ③口腔衛生環境の改善を目的として検討した、種々の口腔細菌に対する抗菌活性に関して、P. gingivalis を含む歯周病原細菌に対してのみではなく、Streptococcus mutans などグラム陽性細菌に対しても幅広い抗菌効果が認められ、バイオフィルム形成抑制作用が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、ラットを用いた実験的歯周炎で歯槽骨吸収の抑制と歯周局所の炎症抑制効果ついて検討したが、当初予定していた歯肉組織中の炎症性サイトカインの変動について良好な結果が得られなかった。しかしながら、歯肉の反応性充血について検討した結果、松樹皮由来ポリフェノールの投与が、歯肉微小循環の改善に有効であることが示された。 また、培養細胞を用いた破骨細胞分化誘導抑制性および活性化の抑制に関して、松樹皮由来ポリフェノール添加は、濃度依存的に破骨細胞分化および活性化を抑制することが明らかとなった。さらに、歯周炎および全身疾患の予防するためには、口腔衛生環境の改善が求められるため、種々の口腔細菌に対する抗菌活性およびバイオフィルム形成抑制作用について検討し、良好な結果が得られた。これらの結果は、申請時に予想されたものであり、おおむね研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
歯周炎の誘発や増強に歯周局所での酸化ストレスの関与が指摘されている。したがって、ラット実験的歯周炎において、植物由来ポリフェノールが抗酸化作用を示すことの検討を進めていく。 さらに、培養細胞を用いた抗炎症作用の検討および破骨細胞分化抑制作用の機序について検討する。
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Research Products
(4 results)