2016 Fiscal Year Research-status Report
地域歯科医療教育の体系化とアウトカム基盤型教育への応用に関する研究
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16K11892
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田口 則宏 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (30325196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 礼子 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (60244258)
大戸 敬之 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (60754299)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域歯科医療 / アウトカム基盤型教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「地域歯科医療」教育で網羅すべきコンピテンシーを明示し、教育内容の体系化を図るとともに、地域医療に貢献しうる効果的な教育手法を構築する。さらにそれらを研究代表者の所属施設で今年度より全国に先駆けて運用を開始している「アウトカム基盤型教育」カリキュラム(Outcome-based Education、以下OBEと略す)において、順次実践、検証を開始することにより、効果の高い教育手法を確立させていくことを目的として実施している。 本研究では当初、下記の5段階について実施する予定とした。①全国の大学、歯科大学の教育担当者より「地域歯科医療教育」および関連する内容の教育実施状況に関する情報を収集する。 ②地域で活躍する歯科医師を対象に、「地域歯科医療」を実践する上で求められる能力、資質等について言語分析等を用いて詳細に検討し、前項の結果とともにモデルとなる「コア・コンピテンシー」を立案する。③得られたコンピテンシーから教育カリキュラムをデザインするとともに、OBEカリキュラムに導入する。④教育効果を検証するとともに、問題点について修正を行い、精度の高い教育プログラムを確立する。⑤研究全般の総括を行うとともに、他施設への導入についてサポートしていく。 本研究は①より順に行っていったが、幸運なことに①については本課題の経済的支援を得ず実施することが可能となった。得られた結果も、本研究課題で得られる情報量をはるかに上回るものであり、現在分析を行っているところである。並行して、現在は②について情報収集や分析手法を含めて研究計画を立案中である。③については、平成27年度に導入した本学の学士課程カリキュラムに、得られた知見を随時導入する方向で検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、まず全国の歯学部における「地域歯科医療教育」の実施状況の調査を実施予定であったが、研究代表者が所属する日本歯科医学教育学会の白書作成委員会において「地域基盤型教育」に関する、ほぼ同様の調査を行う機会が得られたため、本科研費の支弁を得ず、情報収集することが可能となった。その結果、「地域基盤型教育」では特に在宅歯科医療、介護医療、口腔衛生管理等に関する内容が重視され、これらの教育は年を追うごとに徐々に各教育施設で充実していた。一方で、各施設のおかれた地域性を背景に、それぞれが持つ教育資源を効果的に活用した結果、大学ごとに特色のある取組が行われていることが明らかとなった。 地域歯科医療実践者による「地域歯科医療教育」への期待については、現在調査方法および分析方法を検討中である。当初全国の開業歯科医を対象に、Webアンケートの手法を用いて、地域歯科医療を実践する上で求められる能力、資質等について調査を行う予定であったが、まずは本学のもつ貴重な資源である離島の歯科医師から情報収集することが重要であると考えた。そこで、本学の実習先である種子島、奄美大島、与論島の各島の歯科医師(臨床講師)に対して、平成29年4月~6月に半構造化インタビューを実施し質的分析を行うことを計画している。 「地域歯科医療教育」のあり方とその「コア・コンピテンシー」の構築については、研究代表者が実行委員長、タスクフォースとして関わった「第7回歯科医学教育者のためのワークショップ(通称富士研)(日本歯科医学教育学会主催)」等において、セッション内で協議を行う場を持った。その結果、歯学部卒業時に持つべきコンピテンシーは大きく7項目に分類された。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた情報は現段階で分析を行っている最中であり、並行してさらに多様な情報が得られる予定となっている。随時分析を行いながら、多方面からの意見を得て、「地域歯科医療教育」のあり方の検討とその「コア・コンピテンシー」の構築を進めていく予定である。 一方で、教育カリキュラムへの適用は、本研究のコア部分であり慎重を期す必要があるが、柔軟性や機動性が求められる部分でもある。本研究では、平成27年度に本学で導入したアウトカム基盤型教育カリキュラムが学年進行で浸透しつつあり、平成29年度には3年次対象に「地域・離島歯科医療学」(座学)などが開講されるため、本研究の真の成果が求められているとともに、成果を応用できる場面が増加しつつある。学部教育は時間的にも制約があることから、学部内での速やかな協議を経たうえで、本学歯学部の学士課程教育カリキュラムへ順次応用していくことを計画している。
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Research Products
(10 results)