2017 Fiscal Year Research-status Report
認知症の先制予防法開発の試み~口腔から全身を守る~
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16K11902
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
角田 衣理加 鶴見大学, 歯学部, 助教 (30585469)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 伸子 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10148067)
大島 朋子 鶴見大学, 歯学部, 学内教授 (50233101)
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 認知機能 / 口腔微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高齢者を対象に、慢性炎症を引き起こす歯周病関連細菌、血液脳関門を弱めて微生物の脳への侵入を助けるカンジダと認知症についての関連性を検討し、口腔ケアなどの口腔微生物の制御が積極的な認知症予防となる可能性を模索することを目的とする。 平成29年度は、本研究に同意の得られた56名を対象に訪問調査を実施し、認知機能と口腔微生物の関係性についての検討を行った。①認知機能検査:島根大学で開発され、妥当性と信頼性の検証も終了し、無料でダウンロードおよび利用が可能であるiPad用認知機能スクリーニング検査「CADi」を使用して行った。②歯周病関連細菌とカンジダの菌数測定:唾液を検体としてリアルタイムPCRにより実施した。リアルタイムPCRは、今までに認知機能との関連が報告された Prevotella intermedia, Treponema denticolaと脳血液関門バリアの抵抗性を弱めるとの報告があったカンジダ症関連真菌Candida albicansの菌数を測定した。その結果、平成29年のCADiスコアが6点未満の群は、平成28年時点のTreponema denticola数が有意に多かった。Spearmanの相関係数は、平成28年、29年のTreponema denticola数が平成29年CADiスコアと負の相関があり、平成29年の所要時間との間には正の相関が認められた。一般線形混合モデルでは、認知検査スコアにTreponema denticolaが負の影響を与え、認知機能検査所要時間には正の影響を与えている可能性が示唆された。 また、3Dプリンタを応用したオーダーメイド歯ブラシ作製の準備として、口腔内スキャナを用いた光学印象採得を行った。現在、光学印象採得で得られたデータをもとにオーダーメイド歯ブラシの設計を模索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、高齢者を対象に、慢性炎症を引き起こす歯周病関連細菌、血液脳関門を弱めて微生物の脳への侵入を助けるカンジダと認知症についての関連性を検討し、口腔ケアなどの口腔微生物の制御が積極的な認知症予防となる可能性を模索することを目的とする。 平成29年度は高齢者の訪問調査による分析と、3Dプリンタを応用したオーダーメイド歯ブラシ作製の準備として、口腔内スキャナを用いた光学印象採得を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成10~20年度に8020健康調査の一環として実施された新潟高齢者研究の被験者を対象に、会場健診を実施し、慢性炎症を引き起こす歯周病関連細菌、血液脳関門を弱めて微生物の脳への侵入を助けるカンジダと認知症についての関連性を検討し、口腔ケアなどの口腔微生物の制御が積極的な認知症予防となる可能性を模索する予定である。
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Causes of Carryover |
平成29年度に予定されていた会場健診は、全対象者が満90歳となる平成30年に延期されたため、次年度使用額が生じた。
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