2016 Fiscal Year Research-status Report
コチニンを指標とした女子学生の受動喫煙の実態と口腔への影響に関する継続的調査
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16K11906
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Research Institution | Aichi Gakuin University,Junior College |
Principal Investigator |
稲垣 幸司 愛知学院大学短期大学部, 歯科衛生学科, 教授 (50211058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬飼 順子 愛知学院大学短期大学部, 歯科衛生学科, 教授 (40319190)
高阪 利美 愛知学院大学短期大学部, 歯科衛生学科, 教授 (90446188)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 喫煙 / 受動喫煙 / 尿中コチニン / 歯肉メラニン色素沈着 / 口唇メラニン色素沈着 / 加濃式社会的ニコチン依存度 / 歯科衛生士 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年女性の喫煙や受動喫煙の現状を把握するため、女子大学生に対して尿・唾液中コチニンを指標とした喫煙と受動喫煙の判定およびタバコに対する意識調査を行い、さらに、歯肉・口唇のメラニン色素沈着と歯肉炎の有無との関係を評価した。対象は、2009年4月と同年11月に質問票調査を行い、唾液・尿中コチニン濃度を測定した学生111名(18.1 ± 0.3歳、18~20歳)である。タバコに対する意識は、加濃式社会的ニコチン依存度(KTSND)で評価し、口腔内写真にて歯肉・口唇メラニン色素沈着と歯肉炎の判定を行った。その結果、喫煙者は4月および11月の質問票によると1名であったが、尿中コチニン濃度から推定した喫煙者は5名(4.5%)で、尿・唾液中コチニン濃度の測定は喫煙者の検出に有効であった。次に、非喫煙者の前日および前々日の受動喫煙と尿・唾液中コチニン濃度を検討すると、自己申告による前々日受動喫煙状況では、尿中コチニン濃度は受動喫煙ありの方が高い傾向で、唾液中コチニン濃度では有意に高かった。歯肉メラニン色素沈着は自己申告による受動喫煙状況とは必ずしも一致せず、メラニン色素沈着に影響する他の因子についても検討する必要性が示唆された。そして、KTSND得点は、喫煙者の方が非喫煙者よりも、歯肉メラニン色素沈着がみられる者の方が、かつ歯肉炎指数(GI)が高い方が高いことから、歯肉の状態とKTSND得点の関連性がみられた。 したがって、バイオマーカーとしての尿中コチニン測定は、喫煙や受動喫煙に関する指標として有効であった。本研究では、コチニン濃度とメラニン色素沈着との関連性はみられなかった。歯科衛生士をめざす学生に対する喫煙や受動喫煙についての教育とそれに伴う意識改革は、今後歯科衛生士による禁煙指導が期待されていく中で、必要不可欠なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究結果は、尿・唾液中のコチニン量で判定した喫煙や受動喫煙と口唇、歯肉メラニン色素沈着との関連性というたいへん興味深い内容であり、日本歯科衛生学会で報告した段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度と同様に、入学する学生対象者や2年生、3年生のデータを増やしていく。また、1年後となる2年生時、2年後となる3年生時のデータも蓄積させていく。対象者の増えた段階で、再解析を行い、検討を進めていく。
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Causes of Carryover |
対象者が、研究計画時に想定した人数よりも少なくなり、バイオマーカーの測定にかかる費用が減少したこと、予定していた学会での発表が、間に合わなかったことによる旅費の減少などが、次年度使用額が生じた理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の対象者に対しても、予定通りの調査を実施し、学会発表や論文投稿により、経費を使用する予定である。
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Research Products
(9 results)