2017 Fiscal Year Research-status Report
コチニンを指標とした女子学生の受動喫煙の実態と口腔への影響に関する継続的調査
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16K11906
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Research Institution | Aichi Gakuin University,Junior College |
Principal Investigator |
稲垣 幸司 愛知学院大学短期大学部, 歯科衛生学科, 教授 (50211058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬飼 順子 愛知学院大学短期大学部, 歯科衛生学科, 教授 (40319190)
高阪 利美 愛知学院大学短期大学部, 歯科衛生学科, 教授 (90446188)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 口呼吸 / 歯肉メラニン色素沈着 / 受動喫煙 / 歯肉炎 / 尿中コチニン / 社会的ニコチン依存度 / 歯科衛生士 |
Outline of Annual Research Achievements |
口呼吸とう蝕や歯周病との関連を解明する一助として,歯科衛生士をめざす学生の口呼吸とそれに関連する要因,関連する疾患や症状と歯周病との関連を検討した.歯科衛生学科学生101名(20.6 ± 2.6歳,20~45歳)を対象に,2015年入学時と,同年11月に喫煙に関する質問票調査と尿・唾液中コチニン濃度測定,2017年時,喫煙と,口呼吸に関する質問票調査,さらに撮影した口腔内写真から歯周病,口呼吸に関連する評価を行った.その結果,対象者に喫煙者はいなかったが,30名に歯肉メラニン色素沈着がみられた.その内,27名は受動喫煙がなく,歯肉メラニン色素沈着は受動喫煙以外の因子が考えられた.口呼吸自覚者はおよそ4割に対し,上下口唇比から判定した口呼吸者は9割を超え,無自覚の口呼吸を判定するために,上下口唇比は,有用な指標となる可能性が示唆された.また,対象者にう蝕や処置歯を有する者は少なく,今後は白濁や着色も含めて判定する必要性も考えられた.口呼吸自覚者は,覚醒時の開口・口唇にしまりがない自覚者(P < 0.01),上顎前突(出っ歯)・歯の着色・鼻閉の自覚者(P < 0.05)がより多かった.また,口呼吸自覚者に舌の圧痕は少なかった(P < 0.01).歯肉炎症を示すPM指数は,口呼吸自覚者の方が高く,特に下顎において炎症が多い傾向(P < 0.10)で,歯肉メラニン色素沈着のある者の方が上下顎で高い傾向にあり(P < 0.10),特に下顎ではより高かった(P < 0.05).すなわち,口呼吸と歯肉炎ならびに歯肉メラニン色素沈着は,特に下顎前歯部において関連があると思われた.以上のことから,口呼吸は歯周組織だけでなく,口腔以外にも影響を及ぼすため,歯科衛生士として,口腔内所見だけでなく,喫煙歴や生活習慣および習癖に関しても留意する必要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バイオマーカーとしての尿中コチニン測定は,喫煙や受動喫煙に関する指標として有効であったが,唾液中のコチニンは,受動喫煙の評価は,困難であった.今後,再検討して進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度と同様に,入学する学生対象者や2年生,3年生のデータを増やしていく.また,1年後となる2年生時,2年後となる3年生時のデータも蓄積させていく.対象者の増えた段階で,再解析を行い,検討を進めていく.
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Causes of Carryover |
サンプル数が,想定した数よりも少なく,その測定費用などが残った.今年度は,予定通り,調査研究を進めると同時に,いままでの成果を国際学会で報告する予定である.
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Research Products
(10 results)