2016 Fiscal Year Research-status Report
遺伝性神経難病患者のスピリチュアルケアのケアチーム連携システム構築に関する研究
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16K11912
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
柳沢 節子 信州大学, 学術研究院保健学系, 准教授 (90200534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピリチュアルケア / 遺伝性 / 神経難病 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度においては、文献検討および長野県内の遺伝性神経難病療養者についての精神的ケアおよびスピリチュアルケアの実態について情報収集を行った。 スピリチュアルケアの実態を明らかにするための情報を得るため、長野県内の神経難病患者の診療を行っている関係者で開催している神経疾患ケア研究会において意見交換および情報収集を行った。精神的ケアおよびスピリチュアルケアに関するものとしては音楽療法によるケアの試みを行っている施設があることがわかった。また、神経難病療養者本人および家族の精神的ケアおよびスピリチュアルケアの実態を詳細に把握するため、平成28年5月に行われた脊髄小脳変性症患者家族会に運営スタッフとして参加し、遺伝性のタイプの脊髄小脳変性症の患者および介護している家族と予備面接を行った。患者本人については、母親ともに療養生活を送っており、効果的な治療法がないために、定期受診は行っていない状況であった。患者会活動に関わることによって自分の経験を伝えるなど自己肯定につながる経験をしていることが推測できた。遺伝性であることについても隠さず会員に話していた。また、妻と子どもが患者である介護者は、両者が同じ病気であることは話しをしていた。毎日の日常ケアを行うことが大変であるとのことであり、患者および家族自身が精神的ケアおよびスピリチュアルケアを受けている実態はなかった。むしろ病状の進行に伴う療養の介護上の困難さを感じていることがうかがわれた。患者を複数介護している家族においては、患者の状態の段階により、必要とするケアが異なることが考えられ、スピリチュアルケアの必要な段階についても検討が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度においては、文献検討を行い、遺伝性神経難病の課題および医療の臨床の場におけるスピリチュアルケアとチームケアについて確認および長野県内の遺伝性神経難病療養者についての精神的ケアおよびスピリチュアルケアの実態について情報収集を行った。当初インタビュー調査の実施までを予定していたが、インタビューガイド作成のための予備調査を行った。このインタビューを行うなど準備に時間をかけたために予定より進行が遅れている状況である。これをふまえて対象の状況に合ったスピリチュアルケアの状況やニーズが確認できる、より効果的なインタビュー調査をおこなうことができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度については、半構成的インタビュー調査を実施し、遺伝性神経難病療養者のスピリチュアリティの捉え方、表現の仕方を明らかにし、具体的なニーズとケアの現状について明らかにすることを予定している。またインタビュー調査の内容を参考とし、スピリチュアリティおよびスピリチュアルケアの質問紙調査のための調査用紙について整備する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度にインタビュー調査を予定しており、その分析のためのソフト代や資料整理補助のための予定をしていたが、インタビュー調査を次年度にしたために、予定した予算執行とならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度については、インタビュー調査を実施する予定であり、その分析や調査実施に関する費用として、資料整理補助や調査協力への謝礼など当初の予定に準じて使用する予定であり、平成29年度請求額と合わせて使用する。
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