2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」を基盤とした看護理論の創成とその活用
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16K11920
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Research Institution | Gifu College of Nursing |
Principal Investigator |
黒江 ゆり子 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授(移行) (40295712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寳田 穂 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (00321133)
藤澤 まこと 岐阜県立看護大学, 看護学部, 教授(移行) (70336634)
田中 結華 摂南大学, 看護学部, 教授 (80236645)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 言いづらさ / クロニックイルネス / ライフストーリー / 実践領域モデル案 / 看護理論 / インタビュー / アーキタイプ / 看護実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、実践領域モデル案の看護実践における活用を看護実践者である研究協力者が実施し、自らの看護実践においてモデル案を活用した。その体験をふまえ、看護実践における活用について検討するために有識者会議を開催した。実践領域モデル案を実践活動において活用した研究協力者(看護実践者)を含め、'有識者会議’を開催し、実践領域モデル案の活用について話し合い、実践領域モデル案を見直すとともに、看護実践における「言いづらさ」「聞きづらさ」とケアについて、研究協力者が体験したストーリーを集積した。集積したストーリーから言いづらさとケアについての'エピソード'を導き、これらの'エピソード'の内容を洞察し、慢性の病いにおける「言いづらさ」の事象と「言いづらさ」を包摂したケアのあり様を描き、「実践領域」の論述を深めた。 また、慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」については、神経難病における「言いづらさ」の特性の考察を深め、時間とともに身体運動性の低下が余儀なくされ、かつ可視的状況における「言いづらさ」の特性を導き国際学会で発表した。 さらに、日本の文化における「言いづらさ」の特性を含めて検討する目的で、慢性の病いとともに日本で生活を営む人々の体験記(糖尿病、神経難病、炎症性腸疾患、精神障害、HIV感染症等)を繙き、慢性の病いにおける「言いづらさ」の実在について再度考察を深めた。これにより、「言いづらさが解ける(ほどける)」と導き出されていた事象は、個々の状況においては「言いづらさが超越される」という事象となって現れることがあると思索され、論文にて公表した。 「クライアント領域」「ナース‐クライアント領域」「実践領域」を含む理論的構想の論述内容について、これらの領域を統合すべく検討を重ね、人間/生活者のとらえ方、人が人を支えるときの関係のあり方、及び看護実践のあり方を追究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」を基盤としたケアに関して創成した実践領域モデル案を研究協力者(看護実践者)が自らの実践に活用し、その実践での体験をふまえ、看護実践における活用について有識者会議にて検討し、実践領域モデル案の手直しを行った。また、研究協力者が自らの実践活動において体験した慢性の病いにおける「言いづらさ」「聞きづらさ」及びケアに関する研究協力者のストーリーを集積し、得られたストーリーから「言いづらさ」「聞きづらさ」とケアについての'エピソード'を導き、その特性を考察した。この考察を基盤に可視的な身体機能の低下を伴う神経難病に焦点をあてて海外学会にて発表した。さらに、日本の文化における「言いづらさ」の特性を含め、慢性の病いとともに日本で生活を営む人々の体験記(糖尿病、神経難病、炎症性腸疾患、精神障害、HIV感染症等)を紐解き、慢性の病いにおける他者への「言いづらさ」のあり様について再度考察を深めた。その成果を論文にて公表した。 これらの内容を洞察し、「クライアント領域」「ナース‐クライアント領域」及び「実践領域」の統合を目指し、それぞれの事象の意味を捉え慢性の病いにおける「言いづらさ」と看護のあり方、及びその為の人材育成について意見交換を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、平成29年度に引き続き、看護実践においてモデル案を活用し、また、看護実践における活用に関する有識者会議を開催し、より活発な意見交換を通しモデル案の質を高めていくとともに、研究協力者の体験をふまえ、言いづらさとケアについての看護職者のストーリーを集積する。集積したストーリーから言いづらさとケアについての'エピソード'を導く。これらの'エピソード'の内容を洞察し、事象の意味を捉え慢性の病いにおける「言いづらさ」を包摂したケアのあり様を描き、「実践領域」の論述を深める。 慢性の病いにおける「言いづらさ」について、「クライアント領域」「ナース‐クライアント領域」「実践領域」を含む論述内容について、これらの領域を統合すべく検討を重ね、人間/生活者のとらえ方、人が人を支えるときの関係のあり方、及び看護実践のあり方の追究を継続して行う。 これらをふまえて「クライアント領域」「ナースークライアント領域」「実践領域」を含む理論的構想の論述内容を洗練させていく。さらに、日本文化における「言いづらさ」の特性について、文学書をさらに繙き、深い視野を持ってこれらの諸領域を統合するよう努める。
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Causes of Carryover |
実践者会議開催時の旅費が予定より少ない額で実施されたため次年度使用額が生じることとなった。本年度の国際学会での発表のための渡航費の一部として使用する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Book] 慢性期看護論2018
Author(s)
黒江ゆり子
Total Pages
524
Publisher
ヌーベルヒロカワ
ISBN
978-4-86174-061-9
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[Book] 慢性期看護2017
Author(s)
黒江ゆり子
Total Pages
349
Publisher
メヂカルフレンド
ISBN
978-4-8392-3327-3