2018 Fiscal Year Research-status Report
看護教育におけるインシビリティー(incivility)尺度の開発
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16K11925
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
金城 芳秀 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (40291140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 浩昭 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (30208160)
佐伯 圭一郎 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (50215521)
李 廷秀 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任准教授 (60292728)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | civility / incivility / 尺度 / 看護養育 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護系大学4年生を対象にフォーカス・グループインタビューを3校(各5名)で実施し,質的帰納的に分析した.その結果から,学生は自らの成長を伴う教育学習環境の構造と過程から教員のシビリティ(civility)を認識し,学生と教員の相互の関りの中止あるいは中断の原因となる状況から,インシビリティ(incivility)を認識することが示唆された(現在,投稿中). さらに逐語録データへの計量テキスト分析適用を試みたところ,”教員の立場で考えるシビリティ”に関する部分では質的帰納的分析を補強する結果が示されたが,他の部分では明確な結果が得られずグループインタビューの語りに対する適用限界が示唆された。この成果およびClarkら(2015)のIncivility in Nursing Education surveyなど既存尺度を参考に,インシビリティ評価尺度の作成を行い,その試作版(24項目)を完成させた. これを用いて予備調査を実施し,信頼性と妥当性の検証を行った.研究協力が得られた看護学生40人のデータから,Cronbachのα信頼性係数は0.860,折半法による相関係数は0.675,Guttmannの信頼係数は0.806であり,十分な内的整合性が認められた. 質問内容の構成概念を明らかにするための因子分析では,2つの因子が得られ,その第1因子は教員の学生に対する態度に関連した項目に関連した因子,第2因子は教員の授業に対する態度に関連した項目に関連した因子であった.したがって本24項目は, 教員のインシビリティレベルを学生が評価するための尺度として,用いることができると考えられる. 加えて, 学生のインシビリティレベルを学生自身が評価する尺度も重要と考えられることから, 18項目の試作版を作成した.同様の分析結果から,内的整合性ならびに基準関連妥当性が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在,フォーカス・グループインタビューの研究結果は論文化を進めている.初回の査読結果では,シビリティとインシビリティの操作的定義の作成過程の明確化,職員の言動を教職員として同一に扱うことの影響,シビリティとインシビリティを構成するカテゴリー間の関係性,そして結論の妥当性など,投稿原稿の大幅な見直しが求められた.このため,逐語録からコードを抽出する分析過程に戻り,コードからサブカテゴリー抽出の再分析を行い,具体例として論文本文で引用する語りも再検討を行った.再投稿原稿では,シビリティとインシビリティのカテゴリー間の関係を表現する図を改訂し,これに伴い結論も加筆修正した.しかし再査読の結果においても,再提出の図と結論の妥当性も問われている.既に,本研究者間での再分析を加え,再再投稿を行った. 一方,本研究で開発を目指しているインシビリティ測定尺度においては,試作版を作成し質問項目の内的整合性や構成概念を評価するために,予備研究を行った.この結果から,本調査の実施が可能な段階に至ったが,本調査の実施校・対象者の選定および実施の依頼には至らず,本科研費の研究期間の延長申請を行い, 今後の研究継続を確保した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は一年間の研究期間延長が認められ,引き続き2019年度も継続研究となっている.同時に2019年度(令和元年度) より4年間の基盤研究(C)として「看護学生のシビリティ(civility)を育むアクションリサーチ」を新たに獲得している.本年度は,両研究の連結性を生み出すために,学内外の研究協力者を得ながら,インシビリティ測定尺度とその活用となるアクションリサーチとの連携を確保する. これまでの本研究により,学生が学生のシビリティをどのように知覚しているか,教員が学生のシビリティをどのように知覚しているか,両視点でのデータ不足が課題として示されている.この不足を補う研究上の方略を今後のアクションリサーチに取り入れることで,さらなる研究の展開が期待できる.
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Causes of Carryover |
2019年に入り、本研究期間の一年間延長を申請した。その理由は、オンライン投稿システムの誤用に気づかず、投稿未完了のまま数カ月が過ぎたため、査読結果を受けた一連のやりとりが2019年3月以降になった。この間、inciviity尺度開発の予備調査とそのデータ解析は進めていたが、本調査の実施にむけた準備の時間がとれず、調査用紙印刷費および郵送費を確保するために、研究費の一部を次年度使用として残すこととした。
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Research Products
(3 results)