2017 Fiscal Year Research-status Report
占領期の養護教諭構想に対するPHW看護課の介入 -GHQ文書による検証-
Project/Area Number |
16K11930
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
滝内 隆子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (10289762)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 占領期 / 養護教諭 / CIE(民間情報教育局) / PHW看護課 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では占領期において連合軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)の民間情報教育局(CIE)及び文部省の養護教諭構想の中でも教育制度と職務内容に対する公衆衛生福祉局(PHW)の中の看護課の介入内容を、GHQ/SCAPのPHW看護課のWeekly BulletinとDairy of Journalに所蔵されたMemorandum for Recordを用いて分析し明確化する. 平成29年度は養護教諭構想に関連するCIEと文部省,及びPHW看護課と厚生省の史料を国立国会図書館,国立公文書館等で収集し、1946年~1952年までを時系列に整理・翻訳した.結果,養護訓導から養護教員そして養護教諭へと名称が変更されたプロセス,占領直後の児童・生徒の劣悪な健康状態を改善するために他の訓導(教諭)に先駆けて検定試験制度を導入するなどの養護訓導増員計画がCIE・文部省とPHW/看護課・厚生省との間でどのように検討・実施されたか明らかになった,その成果を第31回日本看護歴史学会にて発表し同学会誌に論文投稿中である. また占領期における地方軍政部の養護教諭に関する活動内容を明確にするために,戦前の富山市における学校看護婦(昭和16年から養護訓導)の設置と職務内容を明らかにした.その結果は第30号日本看護歴史学会誌に(p31-45)掲載された.また,CIE文書の分析により明らかになった占領期の日本の学校衛生と養護教諭の職務内容について第31回日本看護歴史学会で発表し,同学会誌に投稿予定である. さらに占領期にPHW看護課が実施した養護教諭(養護訓導) を対象にした看護技術教育について日本看護技術学会第16回学術集会に招聘され報告した.平成30年度は養護教諭の職務内容へのPHW看護課の介入内容並びに看護婦を養護教諭の基礎資格に決定したその経緯がCIE・PHW文書より明らかになったので発表する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画していた以下の3点を実施した. ① 蓄積していたGHQ/SCAPのPHW看護課のWeekly BulletinとDairy of Journalに所蔵されたMemorandum for Recordを用いて“School Nurse”,“School Nurse Teacher”,“Education for School”,“School Nursing”,“School Health”に関する文書を選定した. ② ①で選定したSheetsを翻訳・校閲し,PHW看護課の養護教諭制度に関する意見を平成28年度は1946年~1947年分を研究協力者と分担して分析が終了しているため,1948年~1951年分を研究協力者と分担して分析した. ③ PHW/看護課の“School Nurse”,“School Nurse Teacher”に関する追加Sheetsの収集・整理を実施した. 予定していた以上に進展していることは①養護教諭に関するCIEと文部省の史料を収集・整理し,その成果を平成30年の第32回日本看護歴史学会学術集会で発表,論文投稿する準備が整いつつあること,②占領期に制定された養護教諭に関する教育制度と戦前の学校看護婦(昭和16年から養護訓導)の教育制度の相違を明らかにするためにCIE・PHW文書を分析した結果,養護教諭の基礎資格決定にCIE・文部省よりPHW看護課が多大に関わり主導権を握っていたことが明らかになりつつあることである.
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Strategy for Future Research Activity |
①平成29年度分析のPHW看護課の養護教諭の基礎資格に関する検討内容をCIE・文部省の意見とPHW看護課・文部省の介入内容を明確化する. ② CIE文書とPHW看護課の養護教諭に関する職務内容に関する史料を整理し分析,なぜ職務内容が法的に規定されず,学校保健計画にもりこまれることになったのか分析する. ③ “School Nurse”,“School Nurse Teacher”に関するCIE文書・文部省,PHW看護課・厚生省の追加史料を収集し,分析する. ①~③の成果を日本看護歴史学会等で発表し,論文投稿する. ④ CIE・PHW看護の文書を分析している中で養護教諭制度に関してPHWのクロフォード・F・サムスの介入が見えてきたので,どのような介入したか分析する.
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Causes of Carryover |
本研究の情報収集、翻訳・校閲のための旅費が、予定していた回数よりも少ない回数でおこなうことができたため、次年度使用額が生じた。本研究は史料収集を主な研究方法とするため,国立国会図書館・国立公文書館・厚生労働省・文部科学省に追加史料の収集に行く必要がある.また,研究協力者と史料分析を分担しているため,分析結果に関する会議の開催が必要になる.分析の精度をあげるために研究者・協力者が翻訳したCIE・PHW看護課に関するSheetsの翻訳・校閲を受ける.更に,研究成果を日本看護歴史学会などに発表するため学会発表旅費・参加費等が必要である. ①史料収集(交通費:国立国会図書館・国立公文書書館等:35千円×4回×2人), ②国内学会発表旅費・参加費(日本看護歴史学会・日本看護学教育学会50千円×2回×2人), ③研究分担者との会議参加費(20千円×3回), ④史料整理人件費(1人×1千円×60日), ⑤史料翻訳・校閲料(1sheet×4千円×50枚), ⑥研究協力者間事務連絡費(切手等:10千円)
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Research Products
(4 results)