2016 Fiscal Year Research-status Report
危機管理能力に優れた国際看護領域の人材育成のための教育モデルの開発研究
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16K11946
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
新地 浩一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30404164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 妃都美 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (60612017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際看護 / 国際保健 / 看護教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には、実践的な国際看護教育(国際保健に関する基礎教育・技能訓練・シミュレーション演習)の構築の準備を行うために、第一段階として、国立看護系の41大学の国際看護に関する教育を担当している大学教員を対象として、現在行われている教育内容の調査を実施した。国際看護を専門科目として教育している大学は約80%であり、そのうち必修科目としている大学は50%であった。常勤の看護職者が担当教員である大学は約60%であった。国際看護の教育内容に関しては、大学間で大きな差異があることが判明した。 国際看護の教育の担当教員の多くが、「国際的な視野を重視した授業内容の精選」、「国際交流による異文化理解」、および「演習による実践能力の強化」が重要であると考えていた。 1年間以上の海外における活動経験のある看護職者約30名に自記式質問紙調査票による調査を行い、大学における国際看護の教育に必要な事項および優先順位の高い項目の抽出を行うべく、現在データを解析中であり、平成29年内には、一部のデータを発表できる見込みである。 また、研究協力者の野口は、国際医療支援活動に従事した147名の看護職者を対象として、彼らがどのような看護活動を実施したかを自記式質問紙調査により解明した。27項目の活動が実施されており、頻度の高い上位10項目について、今後の国際看護教育の中に取り入れるべく、検討を重ねている。(文献1参照) 平成29年度から、看護学科4年次の国際看護論(必修科目)を利用して、約60名の学生を対象として、実践的な国際看護の教育を開始する。平成29年度末までに学習環境・指導体制の整備を実施するとともに、平成29~30年度において、実践的な国際看護の教育の効果の評価を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、1年以上の海外での国際看護活動の経験者約30名を対象に研究を開始したが、目標の対象者数は、確保することができた。長期の国際看護学等のみならず、短期(1年未満)の国際看護活動である、大規模災害時の国際緊急援助活動や人道支援活動等に従事した看護職者の意見も重要であり、それを補うために、研究協力者の野口に短期の活動の経験者のデータ収集を依頼した。このデータも、今後の実践的な国際看護教育の構築に役立てる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、看護学科4年次の国際看護論(1単位15時間)の必修科目において、約60名の学生を対象として、実践的な国際看護の教育を本格的に開始する。特に、発展途上国で実際に起こった健康危機管理上の問題(大規模な自然災害発生時における対処行動など)をモデルにした実践的なシミュレーション演習を行う。この演習に関しては、視聴覚機材を導入した教育を取り入れる。 平成30年度においては、蓄積された国際看護の教育に関するデータや資料をまとめて分析し、実践的な国際看護の教育の効果の評価を実施する。評価においては、国際看護における知識や技術の評価だけでなく、危機対処の際に、看護職者として冷静な判断能力を身につけて、適切な対処や処置ができる能力が付与できているかどうかを判定する。判定には、筆記試験およびシミュレーション演習中の健康危機管理に関する課題に対する対応能力や技能の評価を用いる予定である。具体的には、1)情報収集に関する能力、2)現地の医療関係者との調整や連携がとれているかどうか?3)他職種のスタッフとの連携や協力に配慮しているか?4)現地の実情や文化・慣習に配慮できているかどうか?5)現地の保健医療のニーズに適合した医療協力活動になっているかどうか?などの項目を評価する。 対象学生による授業評価も客観的に行うと同時に、自記式質問紙調査票およびインタビューによる教育効果の評価を実施する。前年度同様、大学院生4名および国際看護領域の専門家1名を研究協力者とする。前年同様に研究分担者1名が研究に参加する。平成30年度は、最終的なデータの分析を行う。最終的には、危機管理能力に優れ、国際看護の領域でで活躍する看護師の人材育成をめざしている。
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Causes of Carryover |
当初、平成28年度にデータ入力や資料整理等のために、人件費(謝金)を30万円分計上していたが、研究の効率化と合理化を図るために、平成29年度にまとめて臨時雇用を行い、人件費を使用することとした。また、その他の経費の一部を繰り越すこととなり、合計で約46万円を平成29年度に繰り越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に繰り越した約46万円は、データ入力および解析のための人件費(謝金)およびその他の経費として使用する予定である。
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