2017 Fiscal Year Research-status Report
危機管理能力に優れた国際看護領域の人材育成のための教育モデルの開発研究
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16K11946
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
新地 浩一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30404164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 妃都美 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (60612017)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国際看護 / 危機管理 / 教育モデル / 国際緊急援助 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度においては、看護学科4年生の国際看護論(1単位15時間)の必修科目において、約60名の学生を対 象として、実践的な国際看護の教育を本格的に試行した。特に、発展途上国内で実際に起こった大規模な自然災害発生時における国際緊急医療援助活動をモデルにした実践的なシミュレーション演習を実施した。この演習に関しては、VTRなどの視聴覚機材を導入するとともに、危機管理に関する教育も取り入れた。 同時に、国際看護活動の経験のある看護職者19名からの情報提供により、教育モデル作成に必要な教育項目に関する抽出作業も実施中である。 また、国際緊急援助活動や危機管理には、トリアージ能力の向上が必要不可欠であると考えられた。そのため、本研究に付随して、看護学科1年生および4年生(各60名)に対してSTART式トリアージの教育も行い、その教育前後で30症例のトリアージを行なわせて、教育効果を判定した。データ解析が終了次第、学術論文として発表予定である。 前年度同様、大学院生4名および国内外の国際看護領域の専門家2名を研究協力者として研究を継続中である。研究協力者1名を、ハワイ大学医学部のシミュレーション教育センターに派遣して、実践的な教育に関する情報収集や意見交換を実施した。 研究分担者1名も前 年度同様に参加して、学生の教育効果に関する質的データの解析を実施した。研究成果の一部を、下記の学会誌に英文論文として投稿して掲載された。
The role of surgical nurse in International Disaster Response in Japan: Recognition of medical workers with experience in IDR. Asian Journal of Human Services, 13, 23-35 2017
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度末までは、研究計画通り進捗している状況である。今後、教育モデルの作成(修正を含む)および評価を実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、前年度までに蓄積された国際看護の教育に関するデータや資料をまとめて分析し、実践的な国際看護の教育モデルを完成する予定である。教育モデルにおいては、国際看護における知識や技術の習得だけでなく、危機対処の際に、看護職者として冷静な判断能力を身につけて、適切な対処や処置ができる能力 の向上を目指すものとする。 教育効果の判定には、筆記試験およびシミュレーション演習における健康危機管理に関する課題に対する対応能力や技能試験を用いる予定である。 対象学生による授業評価も客観的に行うと同時に、自記式質問紙調査票およびインタビューによる教育効果の 評価を実施する。前年度同様、大学院生4名および国内外の国際看護領域の専門家2名を研究協力者とする。データの入力等の事務的作業のために、6か 月間、研究補助員1名を雇用する予定である。研究 分担者1名が研究に参加する。平成30年度は、最終的なデータの分析や教育モデルの完成を行う。 この成果をもとに平成30年度に開催される国際学会などで発表し、国内外の専門家の国際看護の 教育に関する意見を聴取して修正を加え、教育モデルとして提言する予定である。具体的には、平成30年10月に開催されるアジア太平洋災害救急医学会(神戸市)に研究 代表者および研究協力者2名が参加して、この国際看護の教育モデル(案)の評価を得るとともに、諸外国の教育・研究者 からの国際看護教育に関する意見交換も同時に予定している。
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Causes of Carryover |
平成29年度にカナダのトロントで開催された世界災害救急医学会に2名が参加予定でしたが、大学の講義等の業務で参加できなくなり、代替として平成30年度に日本国内で開催される国際学会に参加することにいたしました。また、データ入力のための臨時雇用の人件費を、、(研究の進捗状況も勘案して)平成30年度にまとめて依頼することとし、一部の人件費を次年度に回すことにいたしました。そのため、約53万円を平成30年度に使用させていただくべく、繰り越しをいたしました。
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