2016 Fiscal Year Research-status Report
看護職の高度実践能力とサービスの質担保の為のEBN実践教育システムの評価と汎用化
Project/Area Number |
16K11954
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
石垣 恭子 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (20253619)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 匡正 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 准教授 (40362496)
宇都 由美子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (50223582)
岡崎 美智子 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (60279354)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | EBN実践教育 / 教育用電子カルテ / 視覚的アナログ尺度 / カリキュラム / 教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
事例作成ソフトの患者情報項目を確認し、教育用電子カルテに使用する看護症例入力のための項目を再整理し、具体例な看護事例を作成するためのデータベースを構築中である。また、教育用電子カルテを使用したEBN実践教育を行い、データの2次利用、基本統計、仮説検定、相関などの統計手法を同時に学べるような研修を行った。さらに、研修前に教育対象施設に導入されている電子カルテの導入の有無や概要、自施設のICT環境を加味した教育内容を考案した。教育効果を視覚的アナログ尺度で測定した結果、Y、T、M病院の3施設(n=46)においてEBNの理解、データの尺度、データ入力、クロス集計、相関、t検定等で受講後有意(P<0.01)に理解度が上昇した。電子カルテの特徴についての理解度は、病院によって前提条件が異なるため評価はまちまちだった。 次に、病院の状況にあわせたラダーや看護師本人のニーズを組み入れたカリキュラムや教材を作成するために、現在あるいは将来看護研究指導者となり得る、特殊な教育を受けていない臨床看護師105名(4施設、管理者養成コースの研修生、一般看護スタッフ)から、自らがEBN教育を行う立場となった時に必要と思われる教育ニーズを聞き取り調査した。その結果、統計学に関する教育について、卒後院内の研修や院外のセミナーなどを受講した者は、卒後継続教育を受けていない者(卒業校での科目履修済の者を含む)と比較して、「看護研究に対する否定的な認識」について有意に低値を示した(P<0.05)。また、臨床看護師としての平均経験年数の短い(平均10.2年)1施設(n=23)は、平均経験年数の長い(平均18.5年)1施設(n=57)と比較して、「看護研究に対する肯定的な認識」について有意に低値を示した(P<0.05)。受講者の背景にあわせて、カリキュラムの作成が必要だと考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.より臨床に則した具体例を示し、理解を容易にするために既存の事例作成ソフトを活用し、看護症例入力のための項目を再整理した(次年度も継続する)。 2. 教育用電子カルテから抽出される看護症例データをエクセル表に落とし込み、基本統計、仮説検定、相関などの統計手法を同時に学べるような教材を準備した。さらに、研修前に教育対象施設に導入されている電子カルテの導入の有無や概要、その他の病院情報システムの導入内容を予めリサーチし、自施設のICT環境を加味した教育内容を考案し、教育実践した(3施設46人)。 3.ラダーや看護師本人のニーズを組み入れたカリキュラムや教材を作成するために、施設の教育担当者やこれから指導者になると予測される看護師に予め聞き取り調査し、施設の現状や個人に合わせた個別対応型カリキュラム開発ためのデータを収集した(4施設105人)。
|
Strategy for Future Research Activity |
看護症例システムの開発は、看護症例データベースの構築や教育用電子カルテへの入力も含め、引き続き29年度以降も計画している。また、EBN実践教育と評価を繰り返しながら、個別対応型カリキュラムを提案する。教育ニーズ調査を継続しながら、教育の一部を特殊な学歴や教育歴を持たない臨床看護師が担うことを考慮し、汎用化のための教育マニュアルと教材を整理、作成する。具体的には、研究倫理、文献検索、教育用電子カルテからのデータ抽出と統計処理手法などのカリキュラムをブロック化し、集団教育と個別教育を取り入れてカリキュラムをテーラーメイドする。また、研修を行う各施設から希望者を募り、予めEBN実践教育のアシスタントとしてトレーニングすることで、施設内においてデータ分析の相談に乗るなど、教育の一部を担えるよう配慮する。さらに、これまで自己評価に多くを頼っていた教育評価を見直し、教授者、カリキュラム内容については、スーパーバイザーグループ、学修者が評価し、学修者については、自己評価、客観評価の実施を検討している。スーパーバイザーグループとは、看護系大学の教員や病院などの施設で管理職として院内研究や継続教育に従事している者、施設における電子カルテ等の管理者を指し、教授方法や内容を細かく評価する。学修者の自己評価に関しては、統計手法等の細項目の理解度に関しては、視覚的アナログ尺度やリッカート尺度を使用し理解度の自己評価を試みる。
|
Causes of Carryover |
研究分担者の岡崎氏が1回の学会出張費に使用した金額の残金である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度は、引き続き学会参加旅費、会議費として使用見込み。
|