2018 Fiscal Year Research-status Report
合理的配慮を加味し、発達障害の診断を必要としない看護教育支援プログラム
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16K11956
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Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
Principal Investigator |
吉兼 伸子 山口県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (30637137)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 看護学生 / 合理的配慮 |
Outline of Annual Research Achievements |
対人関係の構築を苦手とする学生(以下、対人困難学生と示す)に起因する看護教員の負担感の関連要因を調査した。 2019年A県8看護師養成施設の看護教員を対象に無記名自記式質問紙を直接配布し留め置き法で回収した(n=88)。 調査項目①対人困難学生の有無、②対人困難学生の障害診断(ADHD,ASD,LD)の有無、③対人困難学生に起因する教員の負担感の程度、④対人困難学生の困る場 ⑤対人困難学生の状況と程度 ⑥関わる教員の悩み、⑦対人困難学生への対応行動と保護者対応で回答を求めた。③~⑧は、大変(5点)~全く(1点)までの5件法で調査した.その結果、○看護教員は、対人困難学生の教育を93.2%経験しており、内93%は障害診断を受けていない学生であった。○看護教員の精神的負担感に関連した項目は、臨地実習(β.357)」「技術チェック(β269)」「親の情緒不安定(β.245)」「自分の精神衛生に影響(β.236)」であった(調整済みR2.653)これらの結果から、山下同様に本調査でも看護教員の93.2%は、対人困難学生の教育を経験していた。そのほとんど(96%)は障害診断はない。対人困難学生に起因する負担感を感じている教員は、8割を超え、対人困難学生への対応で有意差を示したものはない。これは、教員が常に実施し、対応を試行錯誤していることを示す。また、教員の負担感と関連した項目は「臨地実習」「技術チェック」であり、臨地や学内での実践的な教育が負担となっている。次に、保護者対応の「親の情緒不安定」があがり、教員が保護者と当該学生の教育について話し合うことの難しさを示している。それらは、「教員自身の精神衛生にも影響」を与えていた。加えて、重回帰分析でどの項目においても陰性項目がないことは、未だ有効な対応策がない事が反映され、看護学生の合理的配慮の難しさを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
看護教員のインタビューの分析の遅れを生じたこと。加えて、実習指導に関わる役割として看護教員だけでなく、臨地実習指導者の質的調査を加味したことで、進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、看護系の大学の調査結果も加えて、看護師養成施設全体の傾向を確認する。 また、それらをベースに支援マニュアルの草稿を作成し、スーパーバイズを受ける予定である。
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Causes of Carryover |
調査の進捗が遅れたことで1年間の延長を希望した。看護系の大学教員の調査内容を追加する費用と、発表する学会費及びマニュアル作成、印刷費に充てる。
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