2019 Fiscal Year Research-status Report
質の高い終末期へのデス・エデュケーションのプログラム開発と効果に関する実験的研究
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16K11973
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
河野 由美 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10320938)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | デス・エデュケーション / アドバンス・ケア・プランニング / ACP / 看取り / 死への態度 / 心拍変動 / 実験 / 自己と他者の死観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は①デス・エデュケーションの実施は死の不安を軽減し,望む終末期療養の実現や,より質の高い終末期ケアの提供につながるとの仮説を検証することにある.加えて②対象の特性や目的に応じたDEのプログラムを開発し,その効果と影響を検証することを目的にしている.そして,③質の高い終末期療養推進のため,看護教育や啓発活動に活用できる知見を得ることを本研究の目的としている. 既にこれまで実績報告をしてきたように目的①②③は平成31年度までで概ね達成できている.本研究の調査結果から必要とされているデス・エデュケーション内容はアドバンス・ケア・プランニング(ACP)と関連する事が明らかになった.平成30年度ではACPに関するパンフレットを作成した.平成31年度では,河野(2005)の死観尺度を基に新たにACP学習効果尺度を開発し,本尺度を用いた質問紙調査を実施し,結果よりパンフレットの有効性が示された.なおパンフレットの有効性は示されたものの,それは講師がパンフレットを用いて話す効果も関係しており,パンフレットを配布するだけでは有効性は乏しいと推察された.加えて実施した質問紙調査の自由記述で,いつでも利用できる視覚的な動画学習ツールを希望する意見も散見された. よって令和元年には,パンフレットをより発展させた形で27分間の動画作成を行い,制作した動画をYouTubeにアップし,自由に閲覧できるようにした.あわせて個人ホームページもあらたに開設し,そこからも動画が視聴できるようにし,OfficeのFormsを使用した動画視聴に関するアンケートを設定した.そして,2020年3月末に全国訪問看護事業協会に登録している6146カ所の訪問看護ステーション全てに対して,上記の作成した無料動画視聴案内とアンケート協力依頼を記したもの郵送した.そのアンケート結果を令和2年度に分析する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り研究目的は達成した.本研究では当初の計画を更に発展させた形で,質の高い終末期療養推進のため啓発活動に活用できるツールを開発し,誰もが利用できるようにした.具体的には,アドバンス・ケア・プランニング(ACP:人生会議)に関する約27分間の動画を制作し,YouTubeを用いて,これを無料で一般市民が視聴できるようにした.無料動画をいつでも誰でもが視聴することができることで,望む看取りの支援に役立てることが可能となり,科研費を用いて実施した研究成果を社会に還元できると思われる(動画内容の安全性と有効性は前年度の研究で証明している).あわせて個人ホームページもあらたに開設し,そこからも動画が視聴できるようにし,OfficeのFormsを使用した動画視聴に関するアンケートも設定した.そして,広く研究成果を還元するため2020年3月末に全国訪問看護事業協会へ登録している6146カ所の全ての訪問看護ステーションに,上記の作成した無料動画視聴の情報提供とアンケート協力依頼を記したもの郵送した.
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度の令和2年度では,動画視聴に関するアンケート結果を分析し,関連学会で発表するとともに,学会誌への投稿も行う予定である.また今回動画案内を郵送した全国の訪問看護ステーションに中には,今後の研究協力を申し出てくれている施設もあり,今後,そうした研究協力の得られる訪問看護ステーションと協働し,更なる研究につなげていく予定である.
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Causes of Carryover |
昨年度の段階ではACPの動画制作が制作会社との調整で令和2年度になる可能性があり,関連して全国の訪問看護ステーションへの動画情報提供についての郵送も令和2年度に実施する予定であった.そのため研究期間延長申請を行い,次年度(令和2年度)に経費を持ち込む予定であった.しかし令和1年の3月に動画制作が完了し,全国訪問看護ステーションへの郵送も令和元年3月末に実施できた.令和2年に残った経費は研究成果をまとめ、学科発表や学会誌への投稿に使用する予定である.
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Research Products
(3 results)