2017 Fiscal Year Research-status Report
緊急被ばく医療看護におけるコア・コンピテンシーモデルに基づく教育プログラムの開発
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16K11980
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
漆坂 真弓 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (70326304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 麻衣子 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (70455731)
野戸 結花 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (80250629)
冨澤 登志子 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (70333705)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 緊急被ばく医療 / 原子力災害 / コア・コンピテンシー |
Outline of Annual Research Achievements |
緊急被ばく医療を担うメンバーに対し、緊急被ばく医療を担う看護師に必要な知識・技術、及び期待する役割について質問紙調査を実施した。A県で被ばく医療を担う医療施設で同意が得られた7施設を対象に、その施設で被ばく医療を担うスタッフである医師、看護師、診療放射線技師、事務職員、及び施設長及び看護管理者に調査を行った。医師19名、看護師85名、診療放射線技師及び保健物理士28名、事務職25名、合計155名の協力が得られた。そのうち、看護師及び看護管理者、事務職員の調査結果をまとめ、第6回日本放射線看護学会で発表した。 看護管理者は、二次被ばく医療機関・三次被ばく医療機関は被ばくを伴う患者に対し専門的な医療を提供する。その医療機関に従事する看護管理者は、高線量被ばく患者の対応の可能性を踏まえ、看護職者が急性放射線症候群に関する知識・技術をもつこと、施設内の被ばく医療体制の構築に教育や訓練、被ばく医療に必要な資機材の管理等を通して関与すること、被ばく医療に特化した専門知識を看護ケアに活用することを期待していることが示唆された。 看護師は、被ばくや汚染を伴う患者の看護を行う上で必要となる除染と防護の知識を持ち、患者の苦痛への配慮、声かけなど、患者に寄り添った日常実践している看護を行うことが看護師の役割と捉えていることが示唆された。 事務職員は、資機材の準備、情報伝達、緊急時対策本部や被ばく医療を受ける対象者の家族、報道記者等への対応、外来者の記録等の役割を担うが、必要な資機材を判断・準備したり、周囲に患者の状態を適切に伝えるためには、被ばく医療に関する専門的知識が必須である。そのため、事務職員としての役割等を研修で学んだ者は、被ばく医療に関する知識の啓発や、役割を遂行するにあたっての協力やサポートを看護職に求めていると予測された。 また、教育プログラム開発に向けてe-ラーニングの試作を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は文献検討の結果、緊急被ばく医療における看護師の能力・役割(コア・コンピテンシー)を洗い出し、原子力施設立地県(1県)質問紙調査を行いその結果をまとめた。施設交渉の段階で時間を要したのが一因と考えている。しかしながら、この調査結果を受けて、被ばく医療を担う各職種が、それぞれの役割と立場のもと、看護師に期待する役割があることが明らかになった。今後は全国調査及び有識者へのインタビューを実施し、緊急被ばく医療を担う看護師に必要なコンピテンシーを明らかにして行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、質問紙調査を、原子力災害体制のもと全国の被ばく医療を担う機関約250機関に調査を依頼し、各職種が期待する看護師に必要なコンピテンシーを明らかにしていく。その結果を受け、被ばく医療の専門家である有識者に、看護師に必要な知識・技術、期待する役割についてインタビュー調査を実施。質問紙調査の結果とあわせて、緊急被ばく医療を担う看護師に必要なコンピテンシーを明らかにする。その能力を教授するために必要な教育プログラムを作成・検討し、実際に教育を実施・評価する予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果の発表では国内学会を中心としたこと、有識者へのインタビュー調査を実施しなかったこと、教育プログラムの開発にあたりコンテンツとしては試作にとどまったこと等、全体として研究計画が遅延したことが原因と考えている。次年度は、海外学会での成果発表、有識者へのインタビュー調査及びデータ整理のための人件費、教育プログラム開発に向けた費用等を使用する予定である。
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Research Products
(5 results)