2016 Fiscal Year Research-status Report
在宅ケアを受ける患者・家族からの暴力・ハラスメント防止方策の構築
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16K11981
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三木 明子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30315569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 あゆみ 大阪市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (00313255)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハラスメント / 暴力 / 訪問看護師 / 患者 / 家族 / 看護管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、患者・家族からの暴力・ハラスメントの対応や防止方策の実態と課題の把握を目的に、①2つの地域の訪問看護の管理者へのヒアリング調査の実施、②訪問看護師のための患者・利用者家族からのクレーム対応のスキルアップ研修会の開催と調査の実施、③訪問看護師等が利用者・家族から受ける暴力対策検討会の立ち上げと活動開始、④平成29年度の調査体制の準備を行った。 ①平成28年9月、訪問看護ステーションの管理者6人に「訪問看護師が被る利用者・家族からの暴力・ハラスメント防止体制」に関する座談会の場で、在宅で暴力・ハラスメントが発生した際の対応、事後対応と記録、暴力・ハラスメント防止対策における課題について、情報を収集し、その内容をまとめ、誌上発表した。また、平成28年12月、暴力・ハラスメント対応に先駆的に取り組んでいる訪問看護ステーションの管理者2人と弁護士にヒアリング調査を行い、その内容をまとめ、雑誌の掲載が確認している。 ②平成29年1月、大阪市立大学にて訪問看護師を対象にクレーム対応に関する研修を実施した。訪問看護師が在宅ケアで患者や利用者から受けやすい暴力の場面について、ロールプレイ演習を、3時間半行った。参加者のうち調査の協力を得られた29名より、暴力・ハラスメントの被害事例を収集した。 ③平成29年1月29日、兵庫県の訪問看護ステーションの管理者、医師、薬剤師、介護福祉士、弁護士、議員など約20名で「訪問看護師等が利用者・家族から受ける暴力対策検討会」が立ちあがり、暴力対応の専門家として、メンバーに加わった。訪問看護師が利用者や家族から受ける暴力被害について、事例検討を重ね、対応方法を検討する。 ④平成29年度は、静岡県内と東京都内の2つの地域の訪問看護師を対象に研修会の開催ならびに調査の実施を計画し、すでに担当者と打ち合わせを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒアリング調査を2つの地域で実施し、訪問看護ステーションの管理者より、患者・家族からの暴力・ハラスメントの対応や防止方策について、情報収集を行い、完了した。1回目のヒアリング調査の内容をまとめ、誌上発表をすでに行い、別刷りを訪問看護師に配布し、対応や防止方策について、情報提供した。2回目のヒアリング調査の内容は、平成29年7月に雑誌に掲載予定である。研究が順調に進み、成果発表を行うことができている。 また、予定通り、訪問看護師のスキルアップのために研修会を開催し、在宅ケアの場面で訪問看護師がどのように対応していくのか、ロールプレイ演習を通して、訪問看護師の反応を確認している。平成29年度の研修会の教育内容に活用していくため、訪問看護師29名から事例を収集できた。
以上のことから、本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に、訪問看護師の暴力の実態調査(100名程度)を計画していたが、立ち上げた暴力対策検討会のメンバーで、全国規模の数千人の暴力の実態調査を実施する計画があり、それに協力することで、訪問看護師100名程度の暴力の実態調査を実施する必要性がなくなった。 そのため、平成29年度の調査は、暴力の実態調査ではなく、訪問看護師が暴力やハラスメント対応に苦慮する事例の収集や研修会の短期教育効果などの調査を実施していく方向である。 また、昨年度は先駆的に取り組み活動を実施している近畿地方を中心にヒアリングの実施や研修会の開催、対策検討会を立ち上げを行ったが、平成29年度は静岡県内や東京都内の地域で、試行を重ねる。
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Causes of Carryover |
平成28年度に、訪問看護師100名を対象に暴力の実態調査を実施する計画で、予算を計上していた。しかし、平成28年度に立ち上げた「暴力対策検討会」のメンバーである訪問看護事業団の方より、平成29年度に数千人の訪問看護師を対象に全国調査を実施する計画がある旨、情報提供があり、研究代表者がその調査に協力することになった。そのため、平成28年度の暴力の実態調査は行わないことになり、別の調査を実施するため、予算を全額使用しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に、暴力の実態調査ではなく、訪問看護師が受ける暴力の被害事例を収集する調査に計画を変更した。訪問看護師の協力を得るために、年度末の調査ではなく、6-10月に調査を実施するほうがよいという管理者の意見より、平成29年度の調査の実施や報告に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)