2019 Fiscal Year Research-status Report
チーム医療における高度実践看護師が担う看護専門外来システムの開発に関する研究
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16K11993
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
岩永 喜久子 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (40346937)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 看護専門外来 / 専門看護師 / がん看護専門看護師 / システム |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国には、専門看護師制度や認定看護師制度による特定の看護分野の卓越した看護を実践する専門看護師や認定看護師がいる。本研究の目的は、チーム医療の一環として専門看護師(高度実践看護師)が開設する看護専門外来の実践状況とアウトカム評価、ならびにその運用がもたらす医療への貢献について明らかにするとともに、看護専門外来のシステム化に向けた示唆を得ることである。看護専門外来のシステムは、特定の看護分野において大学院や研修によって熟練した看護技術や知識を身につけた助産師や看護師が、医師の診療外来と連携しながら看護専門外来用の診療室で患者に看護独自の相談やケアを行うものである。今日の疾病構造は慢性化し複雑化している。医師の診療のみでは患者のニーズに対応することが難しい。看護専門外来ではがん患者のような慢性疾患患者など多様な分野の患者への細かな対応をしている。当該年度は、特に大学院の修士課程を修了した専門看護師に焦点を当てた。専門看護師には高度実践看護師としてがん看護や老年看護などの13の看護専門分野がある。これまで、看護専門外来システムの開発について3年間、全国の看護学会学術集会の交流集会において臨床施設の看護職と共に活動と汎用性について周知を行った。全国の開設状況についてWebを用いてキーワード「看護専門外来」と「看護外来」を別々に入力して2回検索し、検出された全国の医療施設のホームページを閲覧した。その結果、看護専門外来を開設している施設は全国の38都道府県165施設であった。そのうち、専門看護師が担当者している施設は20であり、多くの施設は認定看護師や学会認定の有資格者が担当していた。専門看護師の看護専門分野は、がん看護分野が14名、慢性疾患看護が6名、老人看護が2名、感染症看護、精神看護、救急・重傷患者看護が各1名であった。実際はさらに多くの施設で開設されているものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度の研究実施計画では、看護専門外来を担当している専門看護師、連携している医師ならびに受診している患者への聞き取り調査を行う計画であった。全国医療施設から 看護専門外来を開設している施設を選定し、さらに、施設の看護専門外来の実践状況を確認後、専門看護師が担当している看護専門外来がある施設を調査依頼候補予定施設として設定した。研究協力への同意が得られた患者10名程度、専門看護師10名程度、看護専門外来と連携している医師10名程度の面接調査に関する所属大学の倫理審査を受け承認後調査を開始した。しかし、依頼施設からの参加協力の承諾や予定対象者からの同意が得られず調査が進んでいない。また、依頼施設の倫理審査受審について依頼をしてみたものの部外者である研究者が受けることでの困難があり、予定対象者の患者と医師が特に難しいため、当初の計画からこれら二者を削除して、先ずは学内の再審査を受け専門看護師のみ対象としたが、新型コロナ感染症対策禍であり調査を中断している。再度、調査方法について検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、全国の看護専門外来を開設している医療施設において、担当している専門看護師10名、看護専門外来と連携している医師10名、受診している患者10名への面接による聞き取りを予定していた。しかし、調査を依頼する当該施設において部外者である研究者が倫理審査の受審に困難を要していること、施設からの承諾を得ることがなかなか難しいこと、施設からの承諾は得られても予定対象者からの同意が得られにくいなどの状況が生じた。そこで、再度、研究者所属の倫理審査を受け、対象者を専門看護師のみとし当初の計画から医師と患者の二者を削除した計画へと変更し調査を継続していた。ところが、このたびの新型コロナウイルス感染症対策禍であり、緊急事態宣言や医療施設の緊迫した環境の中における研究参加協力ができないため調査を中断している。緊急事態宣言は解除されたとしても、当分の間医療施設であるため調査は難しいのではなかと考え再度、調査方法について検討している。対面式の面接からWebを用いた面接への変更や質問紙調査に変更するか検討中である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として当該助成金が生じた理由は、研究の進捗が遅れていることがその理由である。米国の有識者への情報収集はじめ、選定した看護専門外来を開設している10施設程度の看護専門外来担当の専門看護師や受診している患者、専門看護師と連携している医師への面接が実施できていないことにより生じた。面接調査依頼を行っているが同意を得ることが困難な状況であった。特に、患者や医師の場合は依頼する当該施設の倫理審査を受けることが難しく、再度本研究の倫理審査を受けなおし、医師と患者のインタビューを今回の調査から除いた。今後遅れている有識者へのヒヤリング、国内の看護専門外来担当の専門看護師へのインタビューを実施する予定であり、その旅費として次年度分として請求した助成金と合わせた助成金で計画を実施する予定である。
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