2017 Fiscal Year Research-status Report
災害時における黒タグ者に対する活動モデルの実用化に向けた教育プログラムの開発
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16K11997
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Research Institution | Oita University of Nursing and Health Sciences |
Principal Investigator |
石田 佳代子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (90341239)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 看護学 / 医療・福祉 / 自然災害 / 看護師 / トリアージ / 遺体 / 遺族 / 訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国内における災害現場でのトリアージによって、黒のトリアージ・タグを付された傷病者(以下、黒タグ者)に関わる活動に必要とされる能力を養うための教育プログラムを開発することである。 本年度は、災害訓練における黒エリア(黒タグ者を収容する場所)での訓練内容を明らかにし、黒エリアでの訓練に関する教育ニーズを検討するために、全国の災害拠点病院723施設を対象とし、郵送による無記名自記式質問紙調査を行った。各施設1名の看護師に回答を依頼した。当該結果の概要は以下のとおりである。 269施設より回答の返送があった(回収率37.2%)。回答者の特性としては、女性が210名(78.1%)、年齢は50歳代が115名(42.8%)であった。黒エリアの設定については「設定している」が207(77.0%)で、黒エリアの構成員数の平均は3.4名、構成員の職種は看護師が最も多く、責任者の職種は医師が最も多かった。黒エリアの場所は多様であったが、院内の霊安室が最も多かった。黒エリアを設定した訓練の回数は「年に1回」が最も多く、平均所要時間は「90分以上」が最も多かった。なお、黒エリアを「設定している」が訓練は「実施していない」が64(30.9%)であった。黒エリアでの訓練内容は、「黒エリアの立ち上げ」が134(64.7%)、「本部への報告」が110(53.1%)、「所見の記録」が88(42.5%)、「生命徴候の確認」が81(39.1%)、「看取り」が78(37.7%)であった。学習の必要性および訓練の重要性の上位項目は、「自身のストレスコントロール」と「遺族支援」であった。 黒エリアを設定していても実演訓練を行っていない施設が約3割あること、訓練を一連の流れとして実施している施設は少ないと推察されることから、黒エリアにおける基本的な活動の流れなどを学べる教育プログラムの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた内容が、期間内に滞りなく完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成29年度の調査結果をふまえて、全国の災害拠点病院を対象としたデルファイ法による質問紙調査を実施し、教育内容の精選とプログラム化を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由: 近年、黒エリアにおける訓練に力を注いでいる施設があり、当該施設における災害訓練の見学を行うとともに、訓練担当看護師等より専門的知識の提供を受けるための出張を、次年度(10月頃)に予定しており、次年度に繰り越し使用する予定があるため。また、本年度実施した質問紙調査の回収率が37.2%であったことを踏まえて、平成30年度に行う質問紙調査の目標協力者数を当初の計画の100名から200名に増やして予算修正し、増額分の郵送代を繰り越し使用するため。 使用計画: 平成29年度分の未使用額は144,574円である。これらの残額については、上述の災害訓練の見学及び専門的知識の提供を受けるための出張旅費(大分~埼玉、2泊3日、約80,000円)および謝金(約10,000円)としての使用(平成30年10月使用予定)と、上述の郵送代(約55,000円)としての使用(平成30年12月使用予定)を予定している。
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