2016 Fiscal Year Research-status Report
臨床看護師の感情労働と構造的エンパワーメントに着目した教育・介入プログラムの作成
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16K12002
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Research Institution | Seitoku University |
Principal Investigator |
米澤 弘恵 聖徳大学, 看護学部, 教授 (90258989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水戸 美津子 聖徳大学, 看護学部, 教授 (50157559)
石津 みゑ子 千葉科学大学, 看護学部, 教授 (50258985)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 看護管理 / 感情労働 / 看護実践環境 / 感情対処 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の看護師の離職率は、常勤看護師11%、新卒看護師7.8%であり、特に大都市部では14%と高いことが報告されている(日本看護協会2015)。臨床看護師は、感情労働のストレスから抑うつや疲労感が蓄積し、バーンアウトの主な要因になることが注目されている。 したがって、本研究課題は、看護師の労働意欲に関連する感情管理への教育プログラムの作成および介入プログラムの構築である。平成28年度は、臨床看護師の感情労働の実態と職場環境および感情管理スキルへの認識を明らかにすることである。 今年度は、まず研究計画を本学倫理審査委員会に申請し、承認を得たのち調査を行った。対象は、300床以上の5総合病院に勤務する看護師で、研究協力の得られた1426人に調査票を用いて自記式留置き法で調査した。回答は888人(回収率62.3%)から得られた。 その結果、感情労働(ELIN)の2群間比較では、PES-NWIでは、「ケアの質を支える看護の基盤」「看護師と医師との良好な関係」因子で感情労働を多く行っている群の方が有意(p<.05)に高かった。感情対処では、「こんなことで落ち込んだら駄目だと思う」「気分をまぎらわすために誰かとおしゃべりをする」「自信がない仕事の時、わざと自信たっぷりな態度をする」「ムシャクシャすると食べたり飲んだりしてしまう」の項目で感情労働を多く行っている群の方が有意(p<.05)に多く認められた。 したがって、看護の実践環境ではケアの質を支える看護の基盤確保や、医師との関係性を良好にすること、自然な自己の感情経験を支えるようなアプローチによって、心身の健康を保持できる可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、臨床看護師の感情労働・ストレス・満足度と対処行動(離職意図)を把握するための調査票を作成し、調査を行った。 調査票の作成、倫理審査委員会への申請が遅くなり、調査の実施が年度末になってしまったが、年度内に調査を終了することができた。データの一部はまだ解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度の調査結果の一部を国際学会(WANS)に発表することを予定している。また、平成28年度の調査結果から、感情スキルを高める教育・介入プログラムを作成し、教育・介入に協力が得られる病院で実施していく。
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Causes of Carryover |
臨床看護師の調査データ入力作業を外部業者に依頼し作業は完了したが、データ入力代請求の一部が4月請求となったために残ったものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床看護師の調査データ入力作業の外部業者への委託費用に充当する。
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