2016 Fiscal Year Research-status Report
長期間時系列解析に基づいた看護師の過労死予防のための簡便なチェックリストの開発
Project/Area Number |
16K12017
|
Research Institution | The Ohara Memorial Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
佐々木 司 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (10260134)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 過労死 / 循環器負担 / 長期観察 / ホームポリグラフィー / ヒアリング / 週内性疲労 / 疲労感 / ストレス感 |
Outline of Annual Research Achievements |
実生活における過労状態を客観的に測定することを目的として,11月4日から年度末の繁忙期を経た5月14日までの長期間(6か月間:197日)にわたり,40代のホワイトカラー労働者の連続睡眠ポリグラフィー(Home Polysomnography),直腸温および疲労感,ストレス感のデータを解析した。 疲労感・ストレス感は,眠気の自覚,疲労感,電極装着前睡眠,睡眠慣性,中途覚醒,注意睡眠,夢の自覚,心拍数の増大,体調の悪化から評価した。その結果,まず過労は,1週間内に現れる週内性疲労を介して生じることが明らかになった。週内の発生率は,眠気の自覚(土曜日;22.2%),疲労感(月曜日;10.7%),電極装着前睡眠(土曜日;22.2%),睡眠慣性(日曜日;14.3%),心拍数の増大(日曜日;21.4%),体調の悪化(土曜日;18.5%),中途覚醒の混入(水曜日;19.4%),注意睡眠(火曜日18.9%),夢の自覚(火曜日;35.7%)であり,曜日による出現率の特徴が見られた。調査対象者は,週末の睡眠で疲労を回復させようとして睡眠をとるが,それが出来ない場合は,翌週まで疲労が継続する様子が観察された。とくに注意睡眠,夢の自覚,中途覚醒の混入のようなストレス要因が週初めに生じる特徴は,ストレスが疲労を過労にするモデルを踏襲した。6か月間で就床時刻は19時~3時に広い範囲に分布していたが,起床時刻は4時~8時と狭い範囲の分布を示した。また負担および疲労要因は,ホワイトカラー労働者の業務繁忙となる年度末(3月)に向かって増大する傾向が示された。さらに6か月間の時系列観察の中,睡眠深度4の最中の心拍数が異常に亢進する日(41拍/30秒)が含まれていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度前期のホワイトカラー労働者の過労状態と睡眠の連続測定に置いて,長期間の過労の進展状態が捉えられたため,後期に行うはずであったトラックドライバーの長期観察は行わず,最終目的の看護師の過労死予防のための長期的な過労観察法を念頭に置いて,現場調査およびヒアリングを行った。現場調査は,夜勤時の仮眠とメラトニンの関係を測定した。ヒアリングは,全国15か所の病院病棟看護師に行い,その中には過労死された看護師の家族,過労障害として生存している看護師の事例も含まれている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見の論文化を行いピアレヴューを得る。平成28年度後期に行ったヒアリングと長期客観的データの整合性を検討する。
|
Research Products
(7 results)