2016 Fiscal Year Research-status Report
患者の社会生活への復帰を目指してコンフォートを促進し活力を高めるケアの構築
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16K12027
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
金正 貴美 香川大学, 医学部, 講師 (00335861)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コンフォート / 量的記述的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、患者が住み慣れた社会に復帰し、体力を回復させながら以前のように働いていくことを支えるために、自分らしい生活ができるよう、その人のコンフォートを促進する援助モデルを構築することを目的としている。そのため、まず1年目は、コンフォートを促進できる枠組みとはどのようなものかを、コンフォートと影響要因に関して実態調査をした結果より、データ分析を行い明らかにした。現在コンフォートと影響要因との関係について量的記述的研究を行っている。2015年6月にA県の企業や公務など職業に従事する特性で、約500人に質問紙調査を実施した。その結果より、人間のコンフォートはどのような内容で構成されているのか、人間のコンフォートと影響要因の関係を分析した。人間がコンフォートになることの意味や人間のコンフォートを理解する手掛かりとなる影響要因、人間がコンフォートを実感しやすい環境、つまり個人的要因、人的環境、社会的環境として明確にできた。人間のコンフォートは、概念分析の段階では、属性は【楽である】【体が心地よい】【心が静かである】【つながりを感じている】【今が楽しい】の5つであった。質問項目は、こうした5つの属性から作成した。実態調査の結果では、まず概念分析の5つの属性について、その記述統計を算出した。次に因子分析を行ったことで属性を確認できた。文献検討段階では、先行要件に痛みや身体症状があったが、本研究結果からも痛みや身体症状と負の関係がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究計画では、コンフォートを促進できる枠組みとはどのようなものかを、コンフォートと影響要因に関して実態調査をした結果より、データ分析を行い明らかにした。調査は、2015年6月にA県の企業や公務など職業に従事する特性で、約500人に質問紙調査を実施しており、平成28年度は、そうした結果の分析や分析した結果を投稿するための準備期間となった。そのため、必然的にデータ分析がすすみ、1年目の計画を達成することができた。影響要因の分析では、コンフォートと影響要因について、ピアソンの相関係数を算出したり、全対象のコンフォート得点に影響する要因を、重回帰分析を行い明らかにした。またコンフォートの属性1つ1つについても重回帰分析を行い、影響する要因を明らかにした。さらに個人的要因で性別男性と女性の2群に分けて、重回帰分析を行い、影響要因を明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、人間のComfortの量的記述的研究や、人間のComfortに影響する要因についてそれぞれ論文を投稿し、学会で発表していく予定である。そして当初予定していた2年目の計画では、コンフォートを促進するためのケアについて、PubMedや医学中央雑誌、CINAHLを用いて、文献検討を行い、その定義を導く予定である。また闘病記なども参考にしながら、人はどのようなコンフォートを促進しているのか、援助者がどのように関わっているのかを抽出する。文献検討では、コンフォートを促進するケアがどのおようなものか、どのような対象、そしてどの健康段階において行われているのか、看護師がどのように患者に関わってるのか、看護師自身の患者のコンフォートの捉え、患者がコンフォートをどのように強めているのかについて整理をする。またこうして抽出されたコンフォートの特徴について、事例を用いて検討することで、実際の医療現場での適用可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としては、当初統計解析にて、統計ソフトIBM SPSS、AMOSを使用する予定であったが、結果内容により、IBM SPSSのstatistics Base、IBM SPSS regression、IBM SPSS advanced statisticsの使用で可能となった。また1年目にできれば文献検討も行う予定であったが、そこまで作業できなかったため人件費の使用が不使用となった。こうした理由により次年度への使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、文献整理のためのENDNOTEのソフト購入や、そのための人件費を予定している。また投稿論文の内容での学会発表のための国内旅費を予定している。
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