2017 Fiscal Year Research-status Report
移行にゆらぐ糖尿病患者に食卓の営みに着目した看護モデルを用いた援助の有効性の検討
Project/Area Number |
16K12032
|
Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
遠藤 和子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (80307652)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 由香 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (60711942)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 移行 / 食卓の営み / 慢性看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度は、「食卓の営み」に着目した看護モデルを活用した援助プログラムを用いて、実践者によるデータ収集と文献レビューのまとめに充てることを予定していた。 データ収集は、4名の実践者によって進められており、援助対象者として男性2名の援助が終了した。他に1名の実践者が加わり所属施設の倫理審査を経てデータ収集に着手する予定がある。 研究の成果として、第22回日本糖尿病教育・看護学会学術集会で発表を2件、交流集会を1件、他に糖尿病関連研修会での講演を1件実施した。学会発表は、援助プログラムと事例について行い、援助プログラムに関する発表はJADEN 22ed AWARDを受賞した。交流集会では援助プログラムの普及と研究協力者の募集を行った。研究協力の希望者は4名あったが、所属施設の了解を得ることや援助の継続が難しく、現在のところ援助実践者のメンバーは増えていない。 事例検討会は、毎回10名以上の参加者により、隔月で6回開催し9例を検討することができた。これには、ノートPCの購入とwifiの契約、貸し会議室を利用し、スカイプで参加できる拠点を福岡、東京、盛岡に置くことができたことで、研究協力者以外にも周囲の糖尿病看護に従事するスタッフの参加もみられた。 文献検討は、移行に関する資料収集を終え、H30年度の学会発表を予定している。この他に実践の成果を確認するための尺度についても文献検討中である。 事例検討会と文献検討を通して、移行にゆらぐ対象者は、家族との関係に孤独感や強い葛藤状況が生じ、互いに閉塞感を持っていることがわかってきた。家族の成長をキーワードとする新たなケアの必要性を生じていると考えられる。家族との関係を客観視する上でも「食卓の営み」に着目することは効果が見込まれ、本モデルの根幹である「聴く」ことが家族関係の調整に重要となり、援助としても有効であるように見えてきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実践事例20例を予定していたが、援助が完了しているものが2名と少ない。これは、研究対象者の協力を得にくいことと、研究協力者の所属する施設の理解と倫理審査に時間がかかっていることが影響した。 対象者の少なさは想定されていたので、共同研究者がデータ収集に参加するなど、今後も地道に協力者を増やすよう対処している。一方で「移行」にあることは後になって振り返ってはじめてわかる性質を持つことで、渦中にあるときに対象者が援助を求めない傾向がある。そのため、対象者を発見することが難しく、援助を求める人のうちさらに研究協力を得るには、援助者の力量を必要とすることと、援助環境の整備や援助者の状況により、同時に複数の対象者を担当することが当初の見込みよりも難しかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、研究協力者の援助対象者を増やし、援助データの収集を引き続き行ってゆく。共同研究者1名も援助実践を行い、データ収集に当たる。援助データは、当初の計画通り20名程度集まるまで継続する。 また、これまで実施された援助内容を質的に分析し、プログラムの有効性を検討するための尺度を見出し、援助の評価を行えるように進めてゆく。これには、当初の計画通り、慢性看護の専門家を加えて別途に専門家会議を開催し、援助の効果の確認と、プログラムの有効性を検討する。
|
Causes of Carryover |
データ収集に遅れが出ており、データのテープ起こしの予定金額が繰り越されている。加えて、年度末に予定していた全体会議をH30年4月に実施したため次年度使用額となったことによる。
|