2016 Fiscal Year Research-status Report
肥満を有する大腸がん患者を対象とした術前減量プログラムの開発
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16K12040
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Research Institution | Seisen University |
Principal Investigator |
中川 ひろみ 聖泉大学, 看護学部, 准教授 (30437131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅昭 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (40312144)
田中 喜代次 筑波大学, 体育系, 教授 (50163514)
西澤 祐吏 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (50545001)
笹井 浩行 筑波大学, 医学医療系, その他 (60733681)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大腸がん / 肥満 / 手術前 / 減量 / プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、肥満を伴う大腸がん患者の術後合併症の予防と低減を目的とし、術前減量プログラムの開発に取り組んでいる。これまでに、国立がん研究センター東病院では、大腸がん患者の外来初診時に肥満を認めた場合、減量介入を実践してきた。術前4~8週の待機期間に5-10%の減量を目標とし、①外来看護師と栄養士との連携による糖尿病治療に準じたカロリー管理指導、②医師とリハビリ指導員による1日1時間の有酸素性運動を指導した。なお、患者の心肺機能を初診時に検査し、運動実践が臨床的に可能かつ安全であることを確認した。20症例を対象とした予備検討の結果、減量介入群において手術時間の短縮が示され、手術リスクや合併症リスクの軽減につながる可能性が示唆された。 この結果を踏まえて、平成28年度は、大腸がん患者に対して術前に介入可能な安全かつ効果的な「運動実践」と「食習慣改善」を併用した減量プログラムを開発した。本プログラムは、①食事・栄養、②エクササイズ、③プログラムに関する相談や進捗管理、安全管理による患者サポート、④メンタルサポートの要素で構成されている。手術前4~8週の待機期間に、1. プログラム完遂率が67%以上、2. 初診時から手術当日までの体重減少率が5%以上、3.患者の栄養状態や精神状態を低下させないプログラムによる臨床試験にむけて、筑波大学体育系、医師、理学療法士、看護師、栄養士からなる多職種連携チームを結成し、手術準備外来の体制を整備し、プロトコルを作成した。 次年度は、本年度に作製した術前減量プログラムによる、臨床試験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肥満を伴う大腸がん術前患者における適切な食事・栄養プログラムの開発とエクササイズプログラムを多職種連携による検討を重ねて作成できた。 食事・栄養プログラムについては、プロトコルに従って登録された患者に対し、初診外来から1週間後の外来で、運動指導の後に栄養食事指導を行う。入院時まで、食事記録票記入、写真画像撮影を継続して、2週間ごとの来院時の評価を継続する。また、エクササイズプログラムにおいては、活動量計を装着し、速歩またはスロージョグを推奨し、運動記録表及び活動量計による運動量計測を実施することとした。運動強度は自覚的運動強度(修正Borgスケール)に基づき、5~6を目安に行い、7以上の自覚症状では、運動の中止するよう指導することとした。登録日から手術入院前日までの期間において、毎日30分間の運動実践を目標に設定する。 筑波大学体育系の田中喜代次研究室による減量プログラムの評価と多職種連携による減量プログラムの運用にむけた組織体制の整備を行ったことから、本年度の計画通りに進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、減量プログラムの臨床試験の開始にむけて、臨床試験の登録と登録集積を行う。選択規準は待機的大腸がんのcTanyN0-2M0、20歳以上80歳未満、BMI≧25の患者である。 国立がん研究センター東病院での外来において、上記の対象患者は1ヶ月に平均で4例は外来受診患者がいる状況となっており、6ヶ月間で20例に対して臨床試験を行い、臨床への応用可能性と成果を検証する。
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Causes of Carryover |
平成28年度は減量プログラムの開発を行うにあたり、学会時に研究施設において会議を開催したことから、旅費および宿泊費の支出が抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、開発した術前減量プログラムを用いて臨床研究を行うため、予定通りの研究内容に関する研究費を使用する予定である。
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