2018 Fiscal Year Research-status Report
SEIQoL-DWを経時的に用いての若年性神経難病患者のQOL評価とケア構築
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16K12050
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
秋山 智 広島国際大学, 看護学部, 教授 (50284401)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 若年性パーキンソン病 / SEIQoL-DW / QOL / 神経難病 / MASAC-PD31 / UUIS / DRS / 経時的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的】SEIQoL-DW は、QOL尺度の中でも患者自身が生活の質ドメインを直接的に重み付けするという特徴がある。この方法を複数年継続すると、前年に比較して値が変化することがわかる。本研究は、若年性パーキンソン病の生活の質(QOL)について、最大13年間経時的にSEIQoL-DWを実施することにより明らかになった変化の様相からその意味について分析し、若年性パーキンソン病患者のQOLの変化の特徴について明らかにすると共に、患者のQOLの向上に寄与する方策を検討することを目的とする。 【研究方法】調査対象は、概ね40歳代以下で発症し、かつ現在60歳代以下のパーキンソン病患者63名。調査方法は、原則として1年に1回ずつ同じ対象者にSEIQoL-DWを実施し、それを数年(最大13年)にわたり継続、その変化の様相と原因を対象者と共に検討した。(所属大学の倫理審査済み)。 【結果】SEIQoL-DWは13年間で63名に実施した。全500回の平均値は64.39±18.9であった。2年以上で複数回実施した51名(437回分)のデータから、2回目以降が前回の値より上昇していたのが201(46.0%)、下降していたのが236(54.0%)だった。また、13年間という長い目で平均値を見ると、初回が72.1、13年目が56.1と少しずつ低下していた。特に長期間(10年から13年)実施した34名の初回と最終回の値の比較においては、上昇した人が7名(20.6%)、下降した人が27名(79.4%)だった。しかしそんな中でも、症状は進行しているにもかかわらず、10年以上経っても高い値を維持している人たちも存在した。今回、その理由を分析すると、家族の支え、仕事、他者との交流、生きがい、前向きな思考などが挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点では、概ね順調であるが、本研究は長期間継続する必要があるため、若年性とはいえ対象者の多くが50代以上となりやや高齢化している。もっと若い世代の対象者を増やすことが必要である。また、長い期間の中で症状が進行し、今後の調査が継続できなくなる人も少し出てきているため、そういう意味でも新規の対象者を増やす必要がある。 ただ、対象者がやや高齢化しているということは、別の視点から見るとそれだけ罹患年数が増えたということであり、最近発症した人と比較すると長いなりに別の思いも存在することも明らかとなった。今後、その観点からの考察も必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
①前回の科研課題からも継続している内容も含めて、SEIQoL-DWを一人あたり年に一度ずつ毎年直接面接をして聴取する。なお、例外として、遠方で直接の面接が難しいケースでは、電話やメール、郵送を併用することもある。 ②MASAC-PD31も同時に聴取し、症状との関係性を見る。 ③MASAC-PD31の内容を部分的に補完するため、嗅覚、UUIS(病気の不確かさ)についても詳しく聴取する。 ④さらに、DBSやDUO-DOPAという治療方法を選択した対象者の思いをみるために、日本語版DRSも聴取し、主観的QOLを考察する。 ⑤以上のことにより、毎年の調査結果を過去のものと比較しつつ、患者のQOL向上のための施策について、患者自身とさらに検討する。
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