2016 Fiscal Year Research-status Report
直腸がん術後3大機能障害に対する多職種協働ケアモデルの開発
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16K12057
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
堀越 政孝 群馬大学, 大学院保健学研究科, 講師 (80451722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二渡 玉江 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (00143206)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 直腸がん / 機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、既存の直腸がんに関する和・英文献をもとに、近年のトレンドやその傾向を再認識したうえで、直腸がん術後患者に起こる3大機能障害の発生頻度・時期・程度と患者のセルフケア内容を明らかにすることと、直腸がん術後患者の問題状況を主観的・客観的に捉えることであった。 1.直腸がん・3大機能障害に関する文献の把握と評価項目の検討 直腸がんに関する過去10年間程度の和・英文献を収集・精読・分析し、近年のトレンドやその傾向を再認識した。また、がんのその治療により起こる機能障害に関する知見を収集するため、泌尿器系悪性腫瘍や骨盤内悪性腫瘍や心因性の機能障害についての文献も閲覧した。それらを参考に、調査における評価項目および使用する尺度を検討した。 2.3大機能障害の発生頻度・時期・程度と患者のセルフケア内容とQOLや自尊感情の調査 3大機能障害の発生頻度・時期・程度に加えて、患者が行っているセルフケア内容を明らかにするために、まず、性機能障害が著明にあらわれる男性患者を対象に、術後に機能障害を受け入れていくプロセスを明らかにした。その結果、男性直腸がん患者は排便障害に翻弄され、排尿障害,性機能障害も追い打ちをかけるように起こり、この複合的な機能障害が相互に影響して日常生活に支障をきたし、自尊心へのダメージも負っていたことが明確となった。しかし、対処方法を模索する中で3大機能障害全てへの実態理解が進む中で自分なりの対処ができ始め、3大機能障害への対処方法の確立へとつながっていたこともわかった。以上より、確立した対処方法の効果の程度や周囲のサポートによって、前向きな受け入れ、諦めによる受け入れという異なる2つの受け入れに至ることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
直腸がん術後における3大機能障害の様相と患者が行っているセルフケア内容を明らかにするために、まず、性機能障害が著明にあらわれる男性患者を対象に、術後に機能障害を受け入れていくプロセスを明らかにした。その結果、男性直腸がん患者は,3大機能障害による複合的な弊害を受ける中で,対処方法を確立し,障害を受け入れていくことが明確となった。そのため,排便障害単独のプロセスに焦点を当てるのではなく、排尿障害と性機能障害を含めた3大機能障害の受け入れを一つの構造として捉える必要性が示唆された。よって、明らかになったプロセスをもとに,機能障害のレベルや対象者のレディネスに応じた構造化された支援プログラムを開発していく。平成28年度における到達目標までには至らなかったため、次年度調査を実施し、プランを推進していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の計画としては、直腸がん術後患者を対象とした包括的アセスメントツール暫定版を作成する予定である。平成28年度を終えて、計画していた調査までには至らなかったため、まず調査を行い、それをもとに包括的アセスメントツールを作成していく。作成後は、がん看護研究者、専門医やがん看護専門看護師、理学療法士などの多職種専門家に意見を求め、その意見を元に再度内容を検討する。検討した包括的アセスメントツール暫定版を用いて調査し、妥当性の評価を行う。その分析結果をもって内容・項目を決定し、包括的アセスメントツールを完成させる。また、前出の多職種専門家と意見交換をしながら介入内容を検討し、決定していく予定である。
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