2016 Fiscal Year Research-status Report
転倒予防のための臨床判断力育成に係る省察モデル・省察ガイドラインの開発
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16K12059
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 真由美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20293350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正源寺 美穂 金沢大学, 保健学系, 助教 (80345636)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 転倒予防 / 看護師 / 省察 / 臨床判断 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】転倒予防に対する看護師の臨床判断の状況について職位による比較を通して明らかにする。【研究の意義】看護師の転倒予防の臨床判断力育成のための省察教育開発の貴重な基礎資料となる。【研究の方法】対象者は2ヵ所の一般病院に所属する計40名であった。データは、個人に対するインタビューもしくは看護師の業務日程の都合から調査票の自由記載により収集した。分析方法:テキストマイニングを用いた。倫理的配慮:金沢大学医学倫理審査委員会の承認を得て実施した。同意書を郵送にて返送した者を本研究の対象者とした。【結果】対象者の概要:20名(50.0%)であり、職位の内訳は、スタッフ6名(看護師経験年数5.7±5.2年)、リーダー5名(18.2±5.1年)、副看護師長5名(18.2±5.1年)、看護師長4名(31.0±2.9年)であった。スタッフは患者のアセスメントから日常生活動作能力を中心に情報収集し、自分が直接実施したアセスメントを通して得た情報以外に、リーダーや他職種から情報を収集し、助言を得ることで患者の転倒予防に対応していた。リーダーはスタッフの直接の助言者と認識しており、カンファレンスなどを通してスタッフに情報共有や助言をしていた。副看護師長はスタッフの連携を支援し、早くから転倒予測が非常に困難な患者を特定し、転倒予防センサーを工夫して使用するなどし、転倒発生時は現場に行ってインシデントレポートと照らし合わせて予防を考慮するなど踏み込んだ転倒予防対策を行っていた。看護師長は副看護師長を通してスタッフとリーダーに教育的に必要な転倒予防を指示しており、転倒予防にはコストがかかることを意識しながらも安全を優先に転倒を未然に防ぐことが必要と判断していた。【考察】職位により臨床判断の深さと広がりが異なっていた。患者特性により臨床判断がどのように異なるのかの調査および省察の概念分析を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
職位による臨床判断の相違を明らかにした。対象特性による臨床判断の特性についての調査は、既に金沢大学医学倫理審査委員会から承認を得て、実施するところである。 当初予定していなかったこと:職位による臨床判断の相違を明らかにする過程で、看護師の転倒予防に対する「省察」を明らかにするには、その概念分析も検討する必要が明らかとなった。概念分析で明らかとなれば、熟練看護師が行っている優れた臨床判断を育成するための省察がさらに根拠をもって言語化され、若手の看護師に効果的効率的に活用される。概念分析はWalker and Avant’s model of concept analysisによる方法で行っており、8段階のうち4段階まで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前半は患者特性による臨床判断の特性についての調査を進めること、および引き続き概念分析を進める。後半は、看護師の職位による臨床判断の特徴、患者の特性による臨床判断の特徴、および概念分析の結果から、参加観察法により言語化が難しい臨床判断および省察について明らかにする。患者特性の調査については昨年度のうちに倫理審査委員会から承認を得ており、研究協力施設からも承諾が得られていることから、順調に研究が進むものと考えられる。データ収集はフォーカスグループインタビューにて得るため、看護師の業務負担とならない配慮を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していなかったこと、すなわち職位による臨床判断の相違を明らかにする過程で、看護師の転倒予防に対する省察を明らかにするには、その概念分析も検討する必要が明らかとなった。概念分析で明らかとなれば、熟練看護師が行っている優れた臨床判断を育成するための省察がさらに根拠をもって言語化され、若手の看護師に効果的効率的に活用される。患者の特性による臨床判断の特性を明らかにする調査を行う前に、省察の概念分析が必要となったため、本調査を平成29年度に行うことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者の特性による臨床判断の特性を明らかにする調査の倫理審査は既に受けており、承認を得ている。平成29年度前期に平成28年度予定していた調査とその分析を実施するための物品購入費等に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)