2016 Fiscal Year Research-status Report
終末期がん患者のスピリチュアルペインに向き合う看護師の臨床推論と介入モデルの特徴
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16K12064
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田中 愛子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10285447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 みゆき 山口県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (30547972)
永田 千鶴 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50299666)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スピリチュアルペイン / がん患者 / 終末期 / 看護師 / 臨床推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究の第1段階として、臨床推論の仮説モデルづくりを目標に看護師を対象とした調査を実施した。訪問看護師、一般病棟、緩和ケア病棟における看護師各8人、合計24名の面接調査およびデータ収集を行った。看護師は、終末期がん患者のスピリチュアルケアの経験のある看護師とした。面接では、患者のスピリチュアルペインの内容と、その現れ方、それを明らかにしていった方法、明らかになったスピリチュアルペインへの対応方法を中心にインタビューし逐語録にまとめた。 一般病棟の看護師の逐語録の概観からわかったことは以下の通りであった。看護師8名は10年から27年の臨床経験を持つ熟練看護師であった。語られた16のエピソードの内の5つは、子どもを持つ母親の苦悩であり、子どもに何もしてあげられないこと、小さな子供を残して逝くことのつらさ、子どもにいつどのように病気を知らせるかといった内容であった。他には、看護師に介入して欲しくない患者とその背景にあるもの、治療終了後に転院することになった患者の不安と苦悩、治療の意味に疑問を持つ患者や家に帰ることを希望する患者等の内容であった。看護師の中には患者へのスピリチュアルペインへの介入がプラスに作用する場合とマイナスに働くこともあることを体験しており、患者に熟慮しながら関わって行くプロセスが見出された。また看護師は、患者の気持ちを深く汲み取りつつ同時に状況を客観視しながら介入していることがわかった。 今後は逐語録を詳細に分析するとともに、訪問看護師、緩和ケア看護師のデータを分析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は、訪問看護師、一般病棟と緩和ケアに勤務する看護師に終末期がん患者のスピリチュアルペインについてのインタビューを行い、逐語録にまとめることであった。 現在、研究計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
収集したデータ(在宅、一般病棟、緩和ケア病棟)をKJ法で分類する。KJ法を用いる理由は、混沌とした問題の中から要素を見出し、関係性を捉え構造を把握することができるので、モデルづくりに最適と考えられるからである。個別分析、全体分析を、ラベルづくり、図階化、叙述化の順で行う。 その後、仮説モデルをもとに、スピリチュアルペインアセスメントシートを含む質問紙を作成する。 作成した質問紙でプレテストを行う。回答困難な箇所や分かりにくい箇所、回答時間を確認するため、①在宅における訪問看護師10人、②一般病棟における看護師10人、③緩和ケア病棟における看護師10人を対象に調査を行い、質問紙の精度を高める。
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Causes of Carryover |
当該年度は3月まで調査を中心に研究計画を実施したため、年度末の共同研究者同士の会議が開催できなかった。会議とデスカッションに必要な物品を購入しなかったので、物品費を次年度に回すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
会議に必要なプロジェクターの購入、データの保存に必要なUSBやファイルの購入を予定している。
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