2016 Fiscal Year Research-status Report

成人外来がん患者へのがん疼痛セルフマネジメントを促進する看護介入プログラムの開発

Research Project

Project/Area Number	16K12084
Research Institution	Senri Kinran University
Principal Investigator	山中政子千里金蘭大学, 看護学部, 助教 (80744416)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	鈴木久美大阪医科大学, 看護学部, 教授 (60226503)
Project Period (FY)	2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords	がん疼痛 / 成人患者 / セルフマネジメント
Outline of Annual Research Achievements	セルフマネジメントはがん看護において重要な概念であり、頻繁に使用されている。がん疼痛患者に対する具体的な援助内容を見出すためには、がん疼痛のセルフマネジメントの概念特性を明らかにする必要がある。そこで、本研究は、がん疼痛のセルフマネジメントの概念分析を行い、属性、先行要件、帰結、定義を明らかにすることを目的とした。研究方法にはRodgersの概念分析の手法を用いた。対象文献は、2000年～2016年に公表された論文のうち、タイトルまたは要約に「がん疼痛」「セルフマネジメント」の記述がある文献とした。最終的に、日本語4文献と英語23文献を対象に、がん疼痛のセルフマネジメントの属性、先行要件、帰結の内容を抽出し、類似性に従ってカテゴリー化した。その結果、がん疼痛のセルフマネジメントの属性は、【医療者との相互作用】【疼痛緩和の意思決定】【痛みに関する課題解決のプロセス】【自己効力感】【疼痛緩和方略を日常生活に組み入れる】の5つのカテゴリーに分類された。先行要件は、3つの大カテゴリー《患者側の態勢》《医療的介入》《社会的資源》が抽出された。帰結は3つのカテゴリー【痛みの緩和】【ウエルビーイング】【エンパワメント】が抽出された。これらの所見より、がん疼痛のセルフマネジメントの定義は、がん疼痛をもつ患者が、医療者との相互作用のもと、疼痛緩和を意思決定し、痛みに関する課題を解決する中で自己効力感を高め、日常生活の中に疼痛緩和方略を組み入れていくプロセスであるとした。今後は、本研究で定義付けたがん疼痛のセルフマネジメントの定義をもとに、がん疼痛のある患者のがん疼痛と痛みから派生する諸問題へのセルフマネジメントの様相を明らかにする必要がある。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned. Reason 平成28年度に計画していた「がん疼痛のセルフマネジメントの概念分析」は、現在分析を終え、学会発表および学会誌投稿の準備中である。概念分析で得られたがん疼痛のセルフマネジメントの定義は、今年度に実施するがん疼痛患者へのヒアリングのインタビュー内容のもとになる。また、概念分析で得られたがん疼痛のセルフマネジメントの属性、先行要件、帰結は、今後目指す成人外来がん患者へのがん疼痛セルフマネジメントを促進する看護介入プログラムの開発にあたり、対象となる患者の選定要件や介入の構成要素、介入のアウトカム設定に活用できる有用な基礎データとなる。平成29年度に計画している「がん疼痛と日常生活・社会生活およびセルフマネジメントに関するヒアリング調査」は、現在、研究計画書作成を終え、所属施設の研究倫理委員会の審査中である。また、本年7～9月のデータ収集に向けて、協力施設との調整も進めており、当初の計画通り進展している。
Strategy for Future Research Activity	平成29年度は、成人期のがん疼痛のある外来患者へのヒアリング調査を実施し、がん疼痛患者が、がん疼痛や痛みから派生する諸問題に対しどのようにセルフマネジメントしているのかを明らかにする予定である。平成30年度には、平成28年度と29年度の結果から調査項目を精練し、インターネット調査を実施して、さらにがん疼痛を持ちながら生活することに対する意向や医療者側の認識について明らかにする予定である。これらの結果より、平成30年度には、成人外来がん患者へのがん疼痛セルフマネジメントを促進する看護介入プログラムを考案し、平成31年度の有用性評価へと進める予定である。
Causes of Carryover	平成28年度は、文献研究である概念分析を行ったため、予定していた必要経費より少ない使用額となった。しかし、研究計画自体は当初の計画通りに進んでおり、平成29年度は、研究成果の発表やヒアリング調査でのデータ収集や分析にかかる費用が生じる。
Expenditure Plan for Carryover Budget	平成28年度の研究結果を、中国で開催されるアジア国際がん看護学会にて発表するための旅費等費用や、学術誌に投稿する際の英語ネイティブチェック外部依頼するための費用を計画している。また、平成29年度に行うデータ収集において必要となるデータ収集施設との打ち合わせ会議費や交通費、録音データのテープ起こし外部委託費用、さらに、今後研究を進めるにあたり必要な文具や書籍代に使用することも計画している。