2016 Fiscal Year Research-status Report
父親の育児行動を促進する看護介入プログラムの開発-ランダム化比較試験による検討-
Project/Area Number |
16K12090
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山口 咲奈枝 山形大学, 医学部, 講師 (20431637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
藤田 愛 山形大学, 医学部, 准教授 (70361269)
遠藤 由美子 琉球大学, 医学部, 准教授 (90282201)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 父親 / 育児行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、父親の育児行動を促進する看護介入プログラムを開発し、ランダム化比較試験によってその有効性を検証することである。本研究のプログラムの作成は、Chinmanらの保健教育プログラムの開発手順に則って進めている。研究者はこれまでに父親の育児行動を促進する介入研究を行った。本研究で作成するプログラムは、この研究成果を基盤としている。このプログラムは、知識の提供と育児手技の演習が中心であり、個々の父親の育児に対するイメージや、父親役割をどのように認識しているのかという育児に対する意識への働きかけが不足していた。そこで本研究では、父親の育児意識を高める手段としてバースプランに着目した。バースプランを立てることは、妊婦とその家族が出産や産褥期の生活の具体的なイメージを描くことや、出産への主体的な姿勢を養う効果がある。現在では、立ち会い分娩をする夫がバースプランを立案する取り組みが多くの施設で行われるようになってきた。さらに、父親がバースプランを立案することで、立ち会い分娩の満足感が高まることや父親としての自覚が芽生えることが明らかとなっている。これらのことから、妊娠期に父親が育児や父親役割を具体的にイメージし、育児意識を高めるツールとしてバースプランが有用であると考えた。そこで、本研究では、バースプランを活用して父親役割を認識し、父親の育児意識を高めて育児行動の促進を図るプログラムを開発することとした。 本研究で開発する看護介入プログラムに参加することで、父親の育児意識が高まり、父親の育児時間が増加することが期待される。さらに、父親の育児行動を促進することで、母親の育児負担感は軽減し、第二子出生率が上昇することが示唆されていることから、本研究の結果、父親の育児行動を促進することができれば、少子化社会の改善に寄与すると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、父親の育児行動を促進するためにバースプランを活用した看護介入プログラムを開発し、ランダム化比較試験によってプログラムの有効性を検証する。 平成28年度は、父親の育児行動を促すバースプランを活用した看護介入プログラムを作成することを目的に研究を進めた。母子看護学の教員や妊婦の保健教育に携わる助産師とともにプログラムの具体案を検討した。また、WICプログラムの産前教室を視察し、産後の生活を想起するような働きかけを学んだ。本研究プログラムの核となるバースプランには、父親役割、理想の父親像、わが子の育児、子どもがいる生活についてのイメージを含めることとした。次いで、バースプランの立案、修正、振り返りのプロトコールを作成した。さらに、これまでの介入研究で開発した育児に関する情報提供とデモンストレーションの実施を加えた看護介入プログラムを作成した。 また、文献検討から、立ち会い分娩をすることは、父親としての自覚をもつことにつながるが、父親の育児行動には関連がないことが示唆された。また、里帰り分娩と父親の育児行動との関連については、研究によって結果が異なっており、関連の有無が明らかではなかった。本研究の結果を一般化することを視野に入れると、様々な背景をもつ対象者をリクルートすることが重要である。しかし、対象の背景がばらつくことがバイアスとなるため、本研究の対象者には、立ち会い分娩をした父親を含めることとし、里帰り分娩に関しては除外することとした。 平成29年3月には、パイロットスタディの研究プロトコールを完成させ、所属先と調査施設の倫理審査委員会に計画書を提出している。したがって、平成29年度早々にパイロットスタディを開始できる状況である。このように、本研究は研究実施計画通りに研究を実施できている。したがって、本年度は研究実施計画を十分に達成していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、プログラムの予備的試行(パイロットスタディ)として介入研究を実施する。研究の目的は、研究者が開発を試みている看護介入プログラムの効果、生じる可能性のある対象者の負担、サンプルサイズを算出し、その後に計画している本試験のプロトコールを作成することである。研究協力施設とはすでに打ち合わせをしており、対象のリクルート方法や調査の協力体制について確認をしている。倫理審査会で承認された後に速やかに研究を開始できる状態である。また、パイロットスタディの成果は今後、論文投稿をする予定である。平成30・31年度は、プロトコールに沿って、本研究で作成する父親の育児行動を促進する看護介入プログラムのランダム化比較試験を行い、プログラムが父親の育児行動の促進に有効であるかを検証する。分析内容は、介入群と対照群の育児時間、家事時間の比較と各群の育児時間、家事時間の経時的な変化量である。平成31年から32年の間に、介入研究で得られた結果をまとめ、研究成果を報告したいと考えている。また、臨床の場で広く活用できる父親の育児家事行動を促進するプログラムを提示したいと考える。 現在、看護介入プログラムを作成し、パイロットスタディの研究計画を順調に開始できていることから、今後も研究実施計画通りに研究を進められると考える。
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Causes of Carryover |
申請時の計画通りに研究費を使用して、残額が7万円程度となった。旅費が当初の見積もりよりも抑えられたこと、研究分担者の繰越し金があったことから残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、残額を合わせて申請時の計画通りに使用する予定である。
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