2018 Fiscal Year Research-status Report
自閉スペクトラム症児の母親がもつ「まもり」の検証と支援方法の構築
Project/Area Number |
16K12100
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
川上 あずさ 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00434960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 洋子 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20434962)
真野 祥子 摂南大学, 看護学部, 准教授 (90347625)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 母親 / 自閉スペクトラム症 / まもり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自閉スペクトラム症児(ASD児)をもつ母親(家族)支援のために、母親がもつ「まもり」を検証し、支援方法を構築することを目的としている。 昨年度にほぼ収集が終了していた質問紙と面接調査によるデータを、今年度分析した。その結果、質問紙調査のS-H式レジリエンス検査(データ数104)については、単純集計であるが対人関係について高いと評価できる母親:23%、普通:39%、低い:38%であった。自己達成可能感については、高いと評価できる母親:23%、普通:51%、低い:26%であった。協調性や問題解決能力については、高いと評価できる母親:14%、普通:45%、低い:41%であった。3つの項目では、協調性や問題解決能力について、高いと評価できる割合が、他の項目に比較して低くなっている。今後、児の特性や生活習慣の獲得状況、家族構成との関連についても分析を進める。面接調査について、11名の母親のデータについて、質的帰納的に分析を進めている。母親がもつ、家族の生活の「まもり」につながると考えられるマネジメントについて分析を進めた結果、母親は子どもの特性を考慮し試行錯誤しながら子どもを尊重し、対応を発展させ家族が納得する方向性を持ちながらプロセスを進めていると分かった。また、母親は家族が無理をしないことを基盤としているのではないかと考えられた。 これらの結果を基に次年度は、更に分析を進めながら研究分担者の協力を得て、具体的な支援方法を検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成29年度までに、データ収集がほぼ終了しているが、その時点で研究の進捗が遅れており、平成30年度で遅れが改善できなかった。そのため、研究期間を1年間延長する申請を行い、承認を得た。特に、質問紙調査のデータ分析が遅れていることが影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
質問紙調査、面接調査とも分析を進めているが、結果の関連性の検討や要因の分析等がまだ十分ではない。特に質問紙調査については、研究分担者や統計解析の専門家の協力も得ながら、分析を早急に進める。 支援方法の検討については、母親の持っている力に注目して検討を進める。質問紙調査の結果から、協調性や問題解決能力が高いと評価できる母親の割合が他の項目に比較し低いことに注目しているが、そのための支援方法の具体策として、面接調査による母親の家族マネジメントの対処方法も活用できるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
データ収集は、終了したが分析が遅れておりそのための謝金の支払い、データ分析後の支援策検討のための会議費およびそれに伴う旅費を使用していないので予算の執行ができなかった。分析結果の学会発表、支援策検討のための協力者への謝金、支援に使用するツールの作成や公表のために計画的に予算を執行していく。
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