2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism for improving father's parenting skills
Project/Area Number |
16K12103
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
小山 里織 広島修道大学, 健康科学部, 研究員 (40458089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 倫子 岡崎女子大学, 子ども教育学部, 教授 (10450032)
森山 雅子 愛知江南短期大学, その他部局等, 准教授 (90532432)
小林 佐知子 静岡県立大学短期大学部, 短期大学部, 教授 (20630651)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 父親 / 育児 / 泣き |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請では,父親の養育スキル向上のメカニズムの解明のために,次の3点について検討した。1)父親は子どもの情動を知覚してから,どのように認知的処理を行っているのか。2)子どもの情動に対する父親の認知的枠組みは,父親の対処行動に影響するのか。3)父親の情動認知的枠組みに影響を与える要因は何か。 具体的には子どもの不快的な情動(泣き)を父親がどのようなプロセスで解釈するかについて,自然な泣き場面に焦点を当てジョイント・インタビューによってその詳細を明らかにした。さらに2ヵ月と4ヵ月の縦断研究によって泣きの認知プロセスの発達について検討した。対象は10組の夫婦で子どもはすべて第一子であった。各家庭で面接調査を行い泣きについて母親在室場面と母親不在場面の2場面のエピソードを回答してもらった。 父親の泣きの認知プロセスは消去法的認知プロセス,反復的認知プロセス,解釈先行的認知プロセス,ルーチン的認知プロセス,試行錯誤的認知プロセス,認知処理なしの6つに分類された。 2ヵ月と4ヵ月には特徴的な泣きの認知プロセスがあり,2ヵ月では消去法的認知プロセスと反復的認知プロセスが多く,4ヵ月では解釈先行的認知プロセスとルーチン的認知プロセス,試行錯誤的認知プロセスが多い傾向があった。さらに4ヵ月では母親在室場面において父親はスムーズに泣きを解釈するが,母親不在場面では試行錯誤して解釈する傾向があった。これらの結果から父親の泣きの認知プロセスは2ヵ月から4ヵ月にかけて発達的に変化すること,その変化に母親の役割が重要となることが示唆された。認知処理なしは両時期に一定数ありその多くが特定の対象者の語りであった。このパターンが10名中一定の割合で示されたことは父親の泣きの認知プロセスを理解するうえで貴重な結果といえよう。本研究成果の一部をECDP(2019)で報告した
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