2017 Fiscal Year Research-status Report
産後クライシス予防に向けて父親のコンピテンシー強化に着目した育児支援システム構築
Project/Area Number |
16K12113
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
鈴木 幹子 東京家政大学, 看護学部, 教授 (90269457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄番 千恵巳 東京家政大学, 看護学部, 助教 (60739423)
立石 和子 東京家政大学, 看護学部, 教授 (80325472)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 産後クライシス / 父親のコンピテンシー / パートナーシップ / 育児経験のメリット / 地域とのつながり / 予期的指導 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、産後クライシスを乗り越えるための育児支援システムを構築し、出生前から乳幼時期にかけての育児支援事業を企画・運営し、その効果を検証することである。 初年度に引き続き、2年目も産後クライシスに関する文献検討とともに、出産・育児の経験者に産後クライシスに関する意見を聴取し、その実態と原因について検討した。 夫婦2人の関係から子どもを持つ家族へと変化するプロセスで、育児の方針や親役割に関する互いの価値観の相違が浮上し、それが受け入れられないことや、尊重されないことに葛藤が生じ、それがストレスとなって、夫婦間に亀裂が生じていくことがわかった。出生前は、産後クライシスが起こりうることなどまったくといってよいほど予測されておらず、その心の準備がなされていなかったことも明らかにされた。また、産後クライシスに直面した際の対処方法がわからず、混沌とした中で育児をしていたという。母親は育児に慣れて子どもとの関係を密するが、それが結果的に父親から育児を遠ざけることになり、父親は、育児を母親に任せ、仕事に邁進することで家庭での父親として立ち位置を保とうとしていた。母親と子どもの濃密な関係が父親のコンピテンシーの発達を阻害していることが考えられる。しかし、育児の中で子どもの肯定的な反応に親としての喜びを経験した父親は、父親としてのコンピテンシーを発展させていることが予測された。また、夫婦間のコミュケーションをとることで、夫婦関係を修復し産後クライシスから脱却していったケースもあった。 これらの産後クライシスの検討から、出生前からの夫婦でのコミュニケーションの大切さや産後クライシスに関する予期的指導の必要性が明らかにされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
出産・育児の経験者からの意見は大変参考になった。お話を伺うと、どの夫婦にも産後クライシスに陥る可能性があること予測され、研究の意義が大きいことが再認識された。しかし、産後クライシスの定義が不明瞭なことや、個々の夫婦の背景が異なり、産後クライシスの関連要因が特定されないこともあり、産後クライシスを整理することに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
産後クライシスが発生する関連要因を整理し、産後クライシスの予防や対処方法に関する予期的指導内容について検討していく予定である。 父親が家族から孤立せず、父親としてのコンピテンシーを発揮できる支援について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究者間で文献検討を行ったため、人件費を使用しなかった。今後は調査資料の作成や資料整理等で費用がかかる予定である。
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