2016 Fiscal Year Research-status Report
可視化したバイオマーカー指標を用いた喫煙妊産婦への禁煙支援介入効果の検証
Project/Area Number |
16K12128
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
塚原 ひとみ 福岡大学, 医学部, 教授 (20555403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 愛 福岡大学, 医学部, 助教 (20714835)
中嶋 恵美子 福岡大学, 医学部, 教授 (30461536)
佐久間 良子 福岡大学, 医学部, 准教授 (80554758)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 禁煙 / 精密酸化脂質 / 喫煙 / 妊産婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
受動・能動喫煙妊婦に関する臨床研究「母体の能動・受動喫煙によるコチニンおよび酸化脂質の探索試験」の被験者9名の母体血、臍帯血中の精密酸化脂質を探索するために、妊娠期、産褥期、1カ月健診の母体血、臍帯血を質量分析装置やキャピラリー等速電気泳動法により、精密酸化脂質(HDL‐C、apoA‐I Levels、HDL subfraction)を分析中である。分析結果をもとに、母体血・尿・臍帯血のコチニン濃度と呼気中CO濃度、分娩状況、喫煙本数や喫煙してからの経過時間などの状況と精密酸化脂質の変動との関連を検討する予定である。 喫煙によって体内に吸収されたニコチンの約70%~80%はコチニンへと代謝される。ニコチンの代謝能には個人差や人種差が大きく、遺伝的要因が大きいと指摘されている。本調査においても、症例によっては、喫煙からの経過時間が同程度であってもコチニン濃度には個人差があり、個人の代謝時間の差などの影響も考えられる。臍帯血中のコチニンが検出された喫煙者の2例は、喫煙7.1~10時間後の分娩であった。さらに、喫煙後22時間、36時間が経過していた産褥1日目の母体の血中コチニンも検出された。 また、胎児の成長に及ぼす影響としては、新生児の生下時体重に関する分析を行い、双胎を含む新生児11名中低出生体重児が7名であった。SGA(small for gestational age)4名、LGA(light for gestational age)1名で、双胎児4名中2名がSGAで、禁煙者の児の体重SDスコアは‐0.66±1.42、喫煙者の児の体重SDスコアは、‐0.92±1.34であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画した母体の能動・受動喫煙によるコチニンおよび酸化脂質の探索試験の被験者9名の母体血、臍帯血中の精密酸化脂質分析について、質量分析装置やキャピラリー等速電気泳動法の分析準備に時間を要したため、現在HDL機能の一つであるコレステロール引き抜き能の測定中である。今後、酸化脂質測定の結果を喫煙状況との関連、コチニン濃度との関連、分娩状況との関連での解析予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に計画した母体の能動・受動喫煙によるコチニンおよび酸化脂質の探索試験の被験者9名の母体血、臍帯血中の精密酸化脂質の変動についての解析を継続し、得られた結果を用いて、コチニン濃度や喫煙状況との関連を検討し、可視化できるバイオマーカー指標を作成する。 妊娠中に限らず、禁煙は「禁煙しよう」とする本人の強固な意志が重要とされる。妊娠を契機に禁煙した妊産婦と喫煙妊産婦の「禁煙を決断した思い」「喫煙を継続する思い」「ストレス状況」「喫煙に至った過程」などの主観的情報を収集するとともに「喫煙禁煙状況・周囲の喫煙状況」、喫煙に関連する「呼気中CO濃度・コチニン濃度測定」など妊産婦の置かれた状況を明らかにするために臨床研究計画書を作成し実施施設との調整を行い実施する予定である。 ただし、妊婦は喫煙していることに対して触れられたくない思いが強く喫煙妊婦の協力が得られにくい状況があり、実施施設との連携調整が課題である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、精密酸化脂質測定の途中であり、測定に関連した消耗品の支出額に誤差が生じ繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、精密酸化脂質測定の途中であり繰越金が発生したが測定を継続しており繰越金については今後測定関連で支出する。 臨床研究計画書に基づき、喫煙及び妊娠を契機に禁煙した妊産婦を対象とした思いに関するインタビューと喫煙禁煙状況・周囲の喫煙状況、喫煙に関連する呼気中CO濃度・コチニン濃度測定の調査分析の為の消耗品費、測定費用および印刷費、分析のための人件費等に使用する。
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