2019 Fiscal Year Research-status Report
社会で成長する先天性心疾患をもつ子ども(人)のレジリエンス促進拡大支援モデル構築
Project/Area Number |
16K12140
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
仁尾 かおり 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50392410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 盛樹 千里金蘭大学, 看護学部, 講師 (10642374)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 先天性心疾患 / 学校生活 / 就業 / 重要他者 / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでの研究成果である“病気体験に関連したレジリエンス”、“レジリエンスを強化する親へのアプローチプログラム”の結果を基盤とし、先天性心疾患をもつ学童期から青年期の子ども(人)が社会の中で成長していることに焦点を当て、「親」だけでなく、これまで未着手であった「友達」、「職場の仲間」等、周囲の人を巻き込んだ拡大支援モデル構築を目指すものである。 研究は3段階構成とし、第1段階では、先天性心疾患をもつ人とその重要他者である友達、職場の上司・同僚の支援に関する認識、ニーズ、問題点についてインタビュー調査し、KJ法の手法により質的に統合した。2019年度は、第1段階の調査結果を学会報告した。 さらに、2019年度は、第2段階として、第1段階で明らかになった「学校生活」、「職場」それぞれの支援の内容に親の支援に関する内容を加えて調査用紙を作成し、アンケート調査を実施した。有効回答138名(有効回答率39.4%)であり、現在分析中である。因子分析の結果、「学校生活」における支援では、『当事者が学校の先生と友達に働きかけ、学校生活への理解と協力を得る』、『友達は学校生活の中でほどよく配慮してくれる』、『病気のことを学校の先生と友達と当事者で共有する』の3因子構造であった。[当事者は自分の体調を理解し早めの対応を心がける]、[社会が内部障害について正しく理解する]を重要とする得点が高かった。「職場」における支援では、『職場の人々や制度が配慮してくれる』、『当事者は職場の人々に病気のことを説明し、自ら仕事を調整する』、『当事者は病気を理由にしたある程度の制限・制約を受容する』の3因子構造であった。[当事者はできることとできないことを明確に伝える]、[当事者は病気のことを上司に説明する]、[当事者は職場の人の助けに感謝の気持ちをもつ]を重要とする得点が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第1段階のインタビュー調査は、社会人である当事者と重要他者のペアでのインタビューであったため、研究参加者のリクルートと日程調整が難航した。その遅れがその後の計画の遅れに影響した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、第2段階のアンケート調査のデータについて、レジリエンス得点と「学校生活」・「職場」各3因子得点の関連、レジリエンス得点と親からの支援の得点の関連、属性による比較等の分析を行う。その後、第1段階、第2段階の結果から支援モデルとしてまとめ、患者会において、当事者、親、重要他者を対象に、報告と討議を実施する。しかし、患者会での報告・討議は、COVID-19感染が収束しなければ実施できないため、今年度前半に分析と支援モデルの検討を行い、患者会での報告・討議は今年度後半に実施できるよう計画する。また、第2段階の調査結果を学会報告する。
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Causes of Carryover |
第1段階のインタビュー調査の実施が遅れたことにより、その後もやや遅れて進行している。当初、2019年度は、第3段階の支援モデルの検討と患者会での報告までを計画していたが、第3段階まで進めることができなかったため、患者会へ赴く旅費の使用が無かった。2020年度後半には患者会において報告・討議を実施する計画のため、旅費として必要となる。また、遅れている論文投稿に向けて、専門家の指導を受けるため、研修費や旅費として使用する。
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Research Products
(3 results)