2021 Fiscal Year Annual Research Report
Sensory Responsiveness and behavior in Preschool Children with ASD in the Classroom Setting
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16K12158
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Research Institution | Iwate University of Health and Medical Sciences |
Principal Investigator |
長南 幸恵 岩手保健医療大学, 看護学部, 准教授 (00648032)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自閉スペクトラム症 / 触質感 / 触知覚 / 視知覚 / 介入研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ASDの感覚特性が生活上の困難とどのように関連するかをASDの集団生活の文脈から明らかにすることを目的に研究を開始した。集団への適応が良好にみえるASDのある子どもであっても、見逃しや聞き逃し、触覚的な鈍さがあり、それらが対人コミュニケーションや身辺自立に影響していた。中でも触覚は、実体験と密接に関連し、対人関係上重要な感覚である。ASDの行動観察において触覚に課題があると推察されたが、参与観察による研究手法は、文脈依存度が高いため、ASDのある子どもの触覚特性を比較することが課題となった。そこで環境統制下において定型発達とは異なる行動を引き起こした触覚に関する介入研究に着手することにした。 手触り、肌触りは、ASDの生活の質や行動に影響を及ぼすと想定されたため、触質感をターゲットとする実験検査の作成に取り組んだ。触質感に関する研究は国内外ほぼ皆無であったため、テストを重ねオリジナル検査を作成した。実験内容や方法の理解、実験検査所要時間から対象者の年齢を12歳-18歳に引き上げ、比較対象として定型発達者も含めた研究デザインとした。実験検査として、質感の主観的評価、視知覚と触知覚の一致を主たる検査とし、触知覚に関する基本的な神経学的検査を含めて構成した。所属機関倫理委員会から承認を経て、データ収集段階まで進めていたが、新型コロナ感染拡大から待機に多くの時間を費やさなければならなかった。一時的な感染収束化のタイミングでASDおよび定型発達被験者を募集し、同意の得られた5名に介入研究を遂行した。その結果、質感の主観的評価はばらつきが大きく、保護者から得られた感覚プロフィール結果との関連は見いだせなかった。触知覚と視知覚が一致しないASDも見いだされ、触視知覚における神経学的異常が示唆された。
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